向井潤吉の戦争画  高島野十郎のロウソク画

今は東京新聞の方が闘っていると聞き、1週間の試し読みをして納得したものの朝日新聞を取り続けているのは、文化欄が充実しているというのが主たる理由だ。
読書欄は薄くなっているけど、それは読書界のレベルが下がっているというのも原因だろうし、他の新聞との差異は少ないかもしれない。
でも演劇・音楽・美術については(厳密に比べてはいないけど)他の新聞よりは充実していると思う。
美術欄の一つに毎週火曜の夕刊に「美術」という連載があり、話題の(あるいは話題にしたい)美術作品を取り上げながら詳しい鑑賞・解説を載せているので愛読している。
先般それに向井潤吉の戦争画が載ったのでスゴク驚いた。
向井潤吉といえば日本の民家を描き続けた画家として知られているけれど、まさか戦争画を描いていたとはネ。
むかし向井潤吉美術館の所蔵作品を観に行ったことがあるけれど(狭いので出品できる作品は限られていた)、その時も東南アジアを訪問した時の(戦時中?)スケッチが展示されていたのを覚えているものの、油彩の戦争画など皆無だった。
もちろん民家とは画風が全然異なるので別の画家の作品かと感じてしまうが、見方によれば民家より美術的には面白いと感じる人もいるだろう。
そもそも向井の民家はあまり美術としての評価が高くないようなので、ファンのボクも公言しないようにしているくらいだけど、向井の残した厖大な量の民家画のなかにも美術として面白いのもあるのだヨ。
もちろん大体の民家画が理屈なしに癒してくれるパワーを内在しているのは力説したいけれど、それだけじゃないヨと言いたいのだナ。
ともあれ自分の眼で確認してもらいたいと思うので、現在展示中という世田谷美術館に行ってご覧下さい。


高島野十郎(やじゅうろう)などという画家は聞いたこともなかったけれど、今日の「美の巨人」(テレ東、夜10時)で取り上げられた作品を見てビックリしたナ。
かなりの変人らしく(殊に晩年は)千葉の田舎に引っ込んで、それもわざわざ電気も水道もない所を選んで住みこみ、(他の作品も描いただろうが)ロウソクと炎の絵を40枚も残したという。
《光と闇》の画家のようだけれど、もちろんカラヴァッジョのような派手さは皆無。
百聞は一見にしかず、だから再放送(BSでやっていたのだけど)でご覧下さい。