お勧めテレビ番組(1)  丸山真男  司馬遼太郎

退職記念号のあの写真の撮影者でもあるイチロー・ファミリー「釣り部長」のユウ君から、イチロー芸人説にいたく納得したというメールが届いた。
その話題をくり返す気はないが、ユウ君のもう一つの感想を取り上げたい。
NHKEテレ、毎週土曜夜11時から1時間半「日本人は何をめざしてきたのか」というシリーズがとても有意義な番組だと推薦してくれたのである。
そこは年金生活者、時間的余裕に任せて番組表で面白そうなものはキチンとカヴァーしているので、実はこのシリーズも毎回録画しているところ(ジックリ見ていない回もあるけど)。
1回目は原子力問題で湯川秀樹と中心に取り上げ、2回目は鶴見俊輔を始めとする『思想の科学』という戦後の重要雑誌、3回目は丸山真男というのだから、ユウ君ならずとも一人で見ているのが惜しくなり知人にも勧めたくなるというもの。
NHKのことだから再放送もあるだろうから、皆さんその気でお待ち下さい。
ちなみに26日は司馬遼太郎で楽しみなのだが、ユウ君はあまりソソラレないとのこと。
何故? 明治から昭和になって日本は堕落したという観点には説得力を感じるが、逆に明治日本を美化しすぎるという点からの批判なのだろうか?
夏合宿(8月9〜11日)の時にでも、他の参加者ともどもユックリ語り合おう。
そう言えばユウ君から質問も受けていたので、一言答えておいて後は合宿の際に。
番組では東大退職を控えていた頃の丸山が、東大闘争を引き起こした全共闘から批判を受けたものの、それを正面から受け止めずに全共闘を反批判したと伝えているが、イチロー先生はどう見ていたのか? という質問。
当時の丸山真男は名のみデカイものの、既に過去の人でしかなかったというのが我々が共有してた見解だと思う。
だから丸山の全共闘批判は想定内のもので痛くも痒くもなくて本人の限界を示しているだけと思えたので、現実(世界)を動かしていた手応えを感じていた我々からすれば、結局は昔ながらの観念的な知識人でしかなかったということです。
当時、丸山の周囲にいた人達(政治学者など)が番組で丸山を批判的に語っていたのは、初めて聞くものが多くてオモシロかった。
番組で吉本隆明の丸山批判も紹介していたけれど、その吉本も全共闘を批判していたのも憶えている。
むしろ三島由紀夫全共闘に向かって「君たちが天皇と言ってくれれば一緒に闘えるのに」と残念がっていた、というエピソードの方がオモシロいだろ?

でも丸山真男からイチロー君が学んだことを一つ。
「行動は認識を断つところに生まれる」名言だが出典は覚えてない。
クラス討論でストライキ反対のお坊ちゃま君・お嬢様たちに向かってこの言葉を使い(「グズグズ言ってても始まらねェだろ!」なぁんてネ)、クラスをストに向けて組織化して行ったのは確か。
我が人生の(一つの)クライマックスだったのも確か、1年生を3回やらされたけど。
クラスの仲間10名と共に進級試験を拒否したら2年いっぺんに落とされ、43生なのに内田樹たちの45生クラスに編入させられてしまった経緯は「イチローのできるまで」という記事に描いたとおり。