サンダース  トランプ  「わが友ヒットラー」(三島由紀夫)

民主党のサンダース旋風には興味があるけれど、トランプ・ハリケーンには呆れるだけで興味は無い。
とはいえ先日偶然見たNHKBS1の番組でサンダースの特集をやっていて支持者達の姿に元気づけられたものの、その1人の「サンダースとトランプはコインの裏表」という発言には関心を引き寄せられた。
なるほど戦前のドイツでも類似した現象が起きていたと想起されたからで、左右の社会主義的な政党が勢力を得ていく中で、右翼の国家社会主義であるナチが「共産党が国会議事堂に放火した」というでっち上げ事件で左翼を弾圧した後、政権を奪取したのはご存じのとおり。
ヒットラーがナチの勢力を拡大するために、本来のナチである親衛隊を粛清して国軍や資本家を取り込み、ナチのアイデンティティを拡大(拡散)して行ったのも周知だろう。
(文学に引き寄せて付け加えておけば、三島由紀夫「わが友ヒットラー」にもこの間の事情が描かれているので一読をおススメしておきます。)
サンダースは公然と社会主義という言葉まで使っているようだけれど、アメリカ中がマッカーシーを中心とする赤狩りに奔ったことを思えば(2流俳優だったレーガンによってチャップリンも排除された)、時代も変るものだという感慨が強くなる。
それだけ今のアメリカの格差が拡大しているということなんだろうけれど、サンダースが大統領になる可能性は残念ながら薄いのは已むをえない(大統領になれても議会に妨害されて理想の実現は無理だろう)。
それは排外主義的では共通する反ヒスパニックのトランプが、反ユダヤヒットラーのようには政権に付くことができないのと同様だ。
マッカーシズムの吹き荒れた時代とは異なって、今やアメリカにも世界の良識もが根付いているから(9・11のテロに抗して「戦争だ!」とオバカなブッシュが叫んだ時にも反対した市民=犠牲者の家族もいた)、トランプを大統領にして世界からバカにされるということはあるまい。
(と、ここまで記してから2日ほど経ってしまったものの、19日の安吾研究会や20日のヒグラシゼミの準備などで余裕が無いので、このまま「公開」します。)
トランプ支持が意外に強いのでやっぱりヤンキーはロスケ(ロシア人)同様アホだ、などとタカを括りがちになるけれど、安倍晋三を総理大臣にしてしまった日本人はヤンキーやプーチン支持のロシア人を嘲笑することはできない、ムジナ同士だネ。