現代短歌というと、最近ではすぐにサトミちゃんが打ちこんでいることが想起される。個人的にはあまり関心が無いけど、朝日新聞の「朝日歌壇・俳壇」のコラムは毎日読んでいる。今日はチョッと知られた水原紫苑が書いていて、この女子は童顔ながらけっこう鋭いことを言う人で、意外なことに能にも詳しい不思議ちゃんだ。彼女が取り上げている最近の歌人、山崎聡子の作品は忘れたくない気持が残っているので、ここに記しておきたい。
あなたを抉(えぐ)る夕日がくるよすべり台の銀のむきだしの背中のうえに
(第二歌集『青い舌』より)
水原の評は以下のとおり。
《作中主体は、子どもらしい他者に悪意に近いエネルギーをぶつけている。現代の愛とはこのように反転によってしかうたい得ないのかも知れない。》
すべり台の銀色の反射が目に浮かぶものの、のどかな幼時の記憶を歌うどころか、幼児の将来を先取りして「悪意」とも思われかねないイメージを重ね合せる。見事な言葉使いだ。それを水原は「愛」と呼ぶのは共感しかねるけれど、言わんとするところは伝わってくるネ。