賢治は意外にオモシロイ!

「猫の事務所」は初めて読んだけど、何じゃこれ? という印象。
初稿形も読んだけど、どう論じるんじゃろ? という戸惑いのみ。
早速この作品を選んだ二人だけに、ともに挑発的・刺激的なレジュメでありました。
サットマンが「先行研究は皆ツマラナソー」と言った通りだとはおもうけど、そこからヒントを得て自分の論を構築していく手つきはこなれていたと思う。
モエミさんの人間世界を読むという発想も、皆が気付きながらスルーしてしまうところを敢えて可視化した感じでオモシロかった。
でも、そこで止まっては面白さも「半分」で終わってしまうので、人間世界を想定して読むとテクストがどう読み替えることができるかを展開して欲しいところ。
モエミさんの口頭説明は長い割に説得されない。
古今集の仮名序で、貫之が業平を「意余りて言葉足らず」と評していたと記憶するが、モエミ発言は「言葉余りて意通らず」といった感じ。
ユリコさんは差別問題を読み込んで刺激的だったけど、突っ込まれるとモロイところがあって再構築を期待したい。
終わったら何と7時だったので、3時間弱の議論だったのだとビックリ!
短く感じたのは充実していた証拠。
オカキューの、獅子を天皇と読むという発想も奇想天外ではないと言っておいたけど、ヨゴレがケガレに通じており、それが聖なる表象の場合があるからだ。
かま猫が他の猫をことなり、獅子の姿に狼狽えずに「まっすぐに立」ったのも特化された存在であることを明かしている。
分かりやすいのはシンデレラで、「灰かぶり姫」もカマドで汚れていたのを見出された物語なのはご存じのとおり。
前回話題になった異人論は、名前だけ紹介した小松和彦や赤松憲雄の本が自宅にあったけど、他の仕事に追われて資料を作るつもりが挫折。
トリックスターと共に、知らないとハズカシイ概念なので自分で調べるのが常識なんだけど、、、
次回は「ビジテリアン大祭」であります。
一橋院で賢治をやった時よりノッってきた感じ。選ばれたテクストの問題でもあるけど、戸惑いながらもオモシロイと思う。