23日は里見紝

今日の有島「小さき者へ」は論じにくいものだと思いましたが、よく議論ができるものだと感心して聴いていました。
もう一人が体調を崩したお蔭で一人発表となったレポ・インパルス君が、突っ込まれる度に揺るいだせいもあるでしょうが、聴かせてもらいました。
でも、それほどの作品とも思えなかったのは、レポの言葉でいえばしょせんは「自己満足」の作品であり、自己完結している分、面白く読めるものではないでしょう。
閉じているテクストに対して多言は無用(本来は「他言」)、という気持になります。
自己完結しているということでは、いかにも有島的なテクストだと思います。
その意味では面白みがありませんが、有島テクストの魅力は何よりも文章の美味さ(少々バター味がキツイ?)なので、それを味わえればイイと思います。
用意周到な緻密さは、他の作家ではあまり例が出しにくいものと思われます。
23日は里見紝「銀次郎の片腕」ですが、紝は武郎の実弟だということは意外に知られてないようです。
紝の「安城家の兄弟」は有島兄弟をモデルにした作品ですが、発表当時、小林秀雄に完膚なきまでに批判されたものです。
でも緻密な文章という点では、兄弟よく似ていると思いますが、いかがですか?