「イスラム国」  山本一太  坂本卓  常岡浩介 

今「朝まで生テレビ!」を実に久しぶりに見ている。
テーマが《「イスラム国」と日本》だからであり、中近東の問題に関しては信頼できる高橋和夫さんが出ているからであり、いつもと違って聞いていられない議論ではないからだ。
ただ常連のような自民党山本一太が相変わらず大声で(?)党派的なことしか発言できないので、その部分は時間の無駄で不愉快だ。
ホントに間抜けなヤツだ! (田原総一郎もだいぶボケてきたので、早く交代すべきだろう。)
党の立場で一律の意見しか言えないのは共産党が第一であり、その二が自民党で共に自分で考えることができないので何の新味も無いから、聞いていてもひたすらツマラナイ。
高橋氏は放送大学の教員で、その講義は放送大では一番タメになる面白いものだということは前に記したとおりだ。
(とここまで記したところで「下書き保存」しておいたら、アッという間に不当に人質にされていた後藤さんが殺されてしまった。)
収穫だったのは、高橋さんと同様に、あるいは高橋さん以上にイスラム世界に詳しそうなジャーナリストである坂本卓という人の発言を聴けたこと。
坂本さんが「イスラム国」の内情に詳しいのは現地で取材した経験があるからで、後藤さんの気持を一番よく理解している印象だったから発言に説得力があった。

同じくジャーナリストの常岡浩介という人が、朝日新聞1月26日の「耕論」の「人質事件 私はこう見る」で真っ当なことを書いていて、3人の論者の中ではもっとも納得できた。
常岡氏は、安倍の「イスラム国と闘う周辺各国を支援する」というバカ丸出しの(とはイチローの点け足し)挑発的な言葉が「事件の一因」であり、「思慮の足りない、浅はかな言動だった」と断言している。
政府は11月の段階で後藤さんの誘拐情報を摑んでいながら有効な動きが何もできなかったのみならず、イスラム国から湯川さんの裁判に立ち会うように求められていた常岡氏の家宅捜査をして(例のオバカな北大生の事件絡み)、氏のパソコンその他イスラム国との連絡手段を全部押収してしまい、結果として救えたかもしれない湯川さん(とのつながりでイスラム国入りした後藤さん)をみすみす殺させることになってしまったとのこと。
一連の動きを読んでいると、学大のセクハラ事件をモミ消そうとした当時の村松学長・大竹副学長が、執行部を批判することで事件を明るみに出そうとした私を処分(減給半日分)したことを想起させられる。
大学人はだいたい政府権力に異を唱えがちではあるものの、やってることは政府・自民党と同じようなもの。
お松さんもお竹さんも安倍晋三に同調するほどバカではあるまいが、結果的には弱者を犠牲にして自身を守ろうとする点で大差ない。
最後に常岡氏の貴重な言葉、
「今回の人質事件で恐ろしいのは、日本でも反イスラム感情が広がることです。」
イスラム国の非道な殺人に挑発されるままに、反人道的な空爆で無実な親兄弟や子供たちを殺されている中近東の人々の存在を忘れ、イスラム社会に対する偏見を肥大化させるのは、ヘイトスピーチの低能たちと変わらぬ次元まで落ちることになる。