国吉康雄展  千住博・明兄弟

先週の日曜美術館で取り上げられていたので紹介しようとしているうちに、もう金曜になってしまった。
明後日の日曜夜8時からEテレで再放送があるはずなのでご覧下さい、おススメします!
10年ほど前だったか、多摩センターで国吉展をしていたのでチョッと遠いけど観に行ったのを覚えている。
あまり知られていない頃だったせいか、空いていたのでユックリ観ることができた。
最初に出会った機会をまるで思い出せないのだけれど、観たくて仕方ないので出かけたらその甲斐があった。
美術は「百聞は一見に如かず」の典型だから観てもらうしかないが、フジタと似ているのは戦争のお蔭で二つの国(文化)に引き裂かれた悲劇を強いられたという点だ。
貧しい境遇のためにアメリカ移民となってから絵を描き始めたそうだが、日米戦争によって(今のモスリムのように)排撃された経験を持つ。
戦後にはマッカーシー旋風という狂気のために再び排撃されたというのだから、アメリカ(人)はつくづく狂信的で怖いものだと呆れるばかり。
テレビでは描かれた人物像の哀しみに画家の悲痛な思いの投影を見ていたが、作品と作家を無媒介に接続するのは賛同しかねるものの、そういう事情を知ってしまうとやはり説得されてしまう。
それほど国吉作品は悲哀に満たされているのが明瞭だが、解説が画家の千住博だから意外で面白い読み(解釈)が聴けるのも嬉しかった。
一時期、弟に当たるオバカな千住明がこの番組のMCをやって呆れさせた時期があったけれど、さすがに専門家の兄の解説は刺激的で面白い(兄弟でも才能に雲泥の差がハッキリ)。
道化師がマスクを外している不思議な作品があるが、これを独自に解釈を加えているのを味わってもらいたい、さすがである。