ピケティ  サンダース  ウォレス  レーガン

ピケティ『21世紀の資本』がベストセラーになっていた時には、(例によって同調圧力には抗してしまうので)読もうという気はしなかったもののテレビでは見ていた(あの白熱教室だったかな?)。
むやみと数字が出てくるのでメンドーだなとは思いながらも、結論には同意できたのを覚えている。
朝日新聞連載の「ピケティ・コラム」2月24日は「米大統領選 サンダース氏は新時代を開くか」という記事で、読んだら年来の疑問が氷解した感じでスッキリできた。
何故アメリカのような国でサンダースのような弱者の味方をする良識派が支持されているのか、という当面の疑問のみならず、何故アメリカ(に続いて日本)で格差が広がって多くのホームレスまで生じさせてしまったのか、という長年の疑念を解かれた手応えが得られた。
ピケティは記してないものの、ホンモノの良識派で思い出されるのはフランクリン・ロウズベルトの副大統領だったヘンリー・ウォレスがいるけれど、良識嫌いなアメリカ人が選んだのはオバカなトルーマン大統領だったのだから呆れるばかり。
だから今回もサンダースも一時的な盛り上がりで終わるだろうと思っていたけれど、ピケティは今回は敗れても近い将来サンダースのような人がアメリカを変える可能性があると言い切っているので、久しぶりに世界に対して明るい気持になれたものだ。
ピケティによればアメリカの格差拡大は、未亡人が死んだばかりのレーガン(当時のニューヨーク市長の「思ったほどバカじゃなかった」というレーガン評は覚えている)が仕掛けた張本人だとのこと、ヤッパリなと納得。
レーガンといえばハリウッドの2流役者だったけど、赤狩りマッカーシー旋風に乗って上位の俳優を追い落としたのち反共政治家に転身したのは知っていたものの、最低賃金の固定化などを始め極端な格差拡大政策を打ち出すことによってレーガンが大統領になったということは知らなかった。
格差の是正のために最低賃金を上げたり、累進課税制を復活させようとしているサンダースが意外にも支持されているのは、レーガン以降の政策を根本から変革しようとする若者の意力が表面化しているからだとピケティは言う。
弱者の側に付くという方針で生きているので、クリントンが立候補した時は女性大統領の誕生を願ったけれど、女性よりマイノリティの「黒人」であるオバマが出てきたのですぐに切り替えたものだ。
今回もサンダースを心底から応援したいけれど、選ぶのはオバカが多数派のアメリカ人のことだからたぶんダメだろう。
しかしピケティは、サンダースがダメでも近い将来サンダースのように弱者の立場の政治に転換されるだろうと断言しているので、近頃にない救われた気分を味わっているところ。
日本でも小泉内閣竹中平蔵以来、レーガン流の格差拡大方針が貫かれているような感触を得ているけれど、竹中を評価していた経済学部卒の息子が近くにいないので、誰かその点を教えてくれないかな?