「かたえくぼ」  「折々のことば」  石垣りん  石田徹也

朝日新聞のコラム欄が充実して面白いので時々取り上げているけれど、鷲田清一さんが2日続けてボクと同じ趣味の詩人・画家の言葉を引用したので笑いが洩れた。
7月4日は石田徹也の《僕の求めているのは、悩んでいる自分をみせびらかすことでなく、それを笑いとばす、ユーモアのようなものなのだ。》という言葉を引用しているけど、これだけだとこのフレーズの重さは伝わらないだろう。
石田徹也を検索してその絵画を見てもらえば分かってもらえるだろうが、彼の絵は全て生き難さを描いていてその苦しみがストレートに響いてくると思う。
それでいながら表現には意表を突く「ユーモア」が感じられて微苦笑が洩れると思う。
多忙だった頃で東京の展示会で観そこなったため、わざわざ静岡まで観に行ったこともあるけど、絵画としての芸術的価値には疑問が残っている。
と書いたら、石田については以前ブログに記したことがあったことを思い出した。
誰だったか、意外な仲間から絵の評価にも同意するというメールをもらったのだった。
石田を知っている仲間って誰だったのかな?

翌5日は石垣りんのエッセイ集「焔に手をかざして」から何気ない伊豆の村人の言葉を引いているけれど、面白みは無い。
もう1つのエッセイ集「ユーモアの鎖国」(共にちくま文庫あり)もあまり面白いものは無かった。
古井由吉もそうだけど、作品は抜群に面白いのにエッセイがツマラナイ文学者がいるものだ。
りんの詩集にはヒネリとエスプリの効いた詩句に満ちているので、未読の人には絶対におススメ!(文庫もあった気がするが、思潮社の現代詩文庫には確実にある)。