中也の会・堀江敏幸・佐藤クンと同級生なのは? 

 昨日、と言っても昭和ゼミの呑み会の後に書いたブログ記事を読んで苦笑。青学院生の佐藤クンが誰と同級生かが記されていないので、読みようによってはボクと同級生の御仁(オジン?)かと勘違いしたヒトがいるかも、と思って笑えました。実際はオッサンと呼ばれている老け役の学部2年生と、昔は同じ大学で同級生だったとか。佐藤クンにはここで謹んでお詫び致します。
 ついでながら、佐藤クンが提起した「代名詞で始まるテクストを如何に面白く読むか」という問題は、「それ」というテクストレベルの空白(指示性ゼロ)が埋まって行く過程と、物語内容が展開していく過程との関連など、とても興味深いものです。ゼミの最中でも言いましたが、あの有名な谷崎の「刺青」も「それ」で始まっており、今日の院ゼミでやった太宰の「姥捨」も「そのとき」で始まっていて結構多いのだと認識を新たにしました。これもゼミ中に言いましたが、ギッシングの「ヘンリー・ライクロフトの私記」も「It」で始まっていたと記憶しています。日本語だけの問題ではなさそうです。代名詞の妙を尽くした文学テクストは、中也の「言葉なき歌」の「あれ」が絶品でしょう。オノマトペの絶品が中也の「サーカス」における「ゆあーん ゆよーん
ゆやゆよん」であるように。
 そういえば中原中也の会主催の「坂口安吾中原中也」という研究集会が6月26日(土)10時半から17時まで、駒場日本近代文学館であります。最初の発表は吉田恵理さん(立教大院の頃の受講者)なので、早起きできれば参加したいと思っています。但し午後は学大の国語国文学会なので戻ります。学大では午後4時過ぎころから、
芥川賞作家・堀江敏幸の講演がありますが、2:45〜3:15の予定で山田夏樹君の中上健次梶原一騎をリンクさせた興味深い発表があるので御出ください。若くして既に10本くらいの論文を発表している実力の持ち主なので、きっと刺激してくれると思います。