谷崎「麒麟」

「刺青」の資料を用意した(エライ!)谷崎読みのマコトちゃんと、谷崎臭を脱しようとしたカズミンの二通りの読みが出されたのは収穫。
一方だけだと議論も貧しくなりがちだから。
一番問題になった表題「麒麟」の読み方も、孔子(徳)だけでもなく南子(美あるいはカズミン風に「色」)だけでもなく、多義的でかつ絶対的な価値を表すというように捉えた方が面白いと思う。
飛び入り参加の加藤クンが言うように、麒麟は本来数種類の動物の部位からできているとされるのだから、1つに限定するのは禁物だろう。
一義的にキメ(決め)つけるとキメラ(多義性)の面白さを抑圧して、読みがそこで止まってしまう危険が大きい。
議論が一義性からの解放を目指す方向に行ったのが、何よりの収穫。
マコトちゃんが入墨される娘ではなく清吉を引き合いに出した点と、カズミンが南子のナルシ(シ)ズムに拘る点が同意できなかったけど、二人の力量は感じられた発表でした。
来週は「小さな王国」、その次は『人魚の嘆き・魔術師』(中公文庫、近日生協に入荷予定)の二つ。
関心のあるヒト、集合!
卒論出してヒマを持て余している4年生は、最後のお勉強においで!