ヒグラシゼミ決行(24日)

クレイ爺問題で延び延びになっていたヒグラシゼミを、秋学期が始まった今頃になってやりました。
前回の古井由吉と共に、小島信夫という現代を代表する作家ながら、参加者はレポを入れて3人という不様さ。
院生の意識の低さを表しているようで淋しいかぎり(体調不全で参加できないというメールはレポ等に届いたらしい)。
発表は小島の最後の作品である「残光」という奇妙なテクストと格闘していたが、健闘ぶりが結実するのかいささか不安な印象。
それがレポの力量のせいではなく、テクスト自体が持っている「論じる困難さ」によると見えるだけに、できるだけのアドバイスを心がけたい。
勝又論が不用意に言う「意識の流れ」とは一線を画するという点を論理化することが必要で、ヒントは討議中に述べた。
意識が朦朧とした状態で書くことと、文章(それ以前に一文一文)が分かりにくいということとは別にして考えるべきだとも思う。
普通に考えれば、ボケが作家が書いたワケの分からない作品として片付けられてしまうテクストを、敢えて評価しつつ<読もう>とするギッド君に敬意を表したい。
手元にありながら読む機会のなかった「菅野満子の手紙」をギッド君に貸してあったが、今日聞いたら古書店で1万円以上の値段がついているそうな。
思わず「汚すなヨ」と言ってしまったが、もちろん「大事に扱ってます」というのは口だけで、存分に活用(よご)して素晴らしい論を書いてくれれば十分。

次のヒグラシゼミの予定は、11月4日(日曜)2時から太宰治「右大臣実朝」を予定。
レポは学大博士の太宰研究者である大國眞希さん。
博士論文をまとめた著書は研究室にあります。