作品に入れず、「形」「藪の中」は来週に持越し

先週いなかった人が結構いたこともあって、「形」に入りかけたところで時間切れ。
今日初めて参加した人が少数ながら目に入ったので、先を急がなかった。
テキストが無いとこの授業は理解できないので、作品理解に入るのは急遽来週からに切り替えた。
予告通り、授業アンケート結果について私の感想を披露した。
アンケートもやりっ放しはいけないので、私がどう受け止め・反省し・反省をどう生かす所存なのかを話した。
内容は前回記した通りなのだが、補足すると
「前評判が悪すぎて、授業を取りづらかったですが、楽しい授業でした。」というのがあって笑えた。
おそらく国語の学生で、先輩から「関谷は厳しい」程度の「レジェンド」を語り継がれているのだろう。
その通り。先週記したとおり、受講生を大学生として講義するので、ユル〜イ授業を期待したら大間違い。
教員・授業についての先輩達の感想が語り継がれているとは聞いている(冊子もあるとか)。
おかげさまで、最近とみに国語の学生が忌避してくれるので受講生がその分減ってくれてやり易い。
その代わりのように、他学科の意欲的な学生が受講している印象で歓迎している。
テクストに対する切り口が国語の学生とは異なるので、刺激的な意見が聴けるのが楽しい。
国語の学生も意欲もレベルも下がってきたナ、という印象を持ち始めたのと、国語の学生少なくなってきたのが軌を一にしている感じ。
もちろん期待できる学生も参加しているので、その点は安心できる材料ではある。
「難しい」という感想が多いのも紹介したが、「充実」していたと続くのがほとんどなのも補足した。
言い忘れたのは、授業後に積極的に質問に来るように伝えたが、私は4時限目が空いているので、そのまま教室で質問を受けることができるということ。
最終授業時に試験をするが、時間は無制限に与えるので、4時限目も教室が空いているのを選んでもらったお蔭である。
今日はドイツの留学生が受講していいか? と尋ねてきたが、もちろん意欲があれば誰でも歓迎する。
この留学生「藪の中」は知らなかったが、黒澤明の映画「羅生門」の内容が「藪の中」だと言ったら、映画は見たことがあるとのこと。
ベネチアだったかの国際映画祭で受賞した作品だが、小説の雰囲気がよく映像化されている名画だと思う。おススメ!(ツタヤにもあると思う)
あと二つ。
授業時にも言ったが、「教室が狭かったので後ろの方になってしまうことがあり、その時は板書が少し見づらかった。」という感想に対しては、一言「前の席が空いている!」。
「議論とか楽しかったです。」と言う感想を今回も書けるように、十分な予習と活発な討論を期待しています。

今日は作品自体よりも、図らずも文学史が中心の授業になった。
芥川・菊池が作品を発表した『新思潮』が東大の学生の同人誌であることから、『早稲田文學』や『三田文學』(慶応大学)の話。
第二次『新思潮』が谷崎達によって明治43年に創刊されたが、この年は文学史上極めて大事なこと、つまり自然主義文学のピークでありながら反自然主義文学の始発の年だという定説である。
『新思潮』や『三田文學』は志賀直哉達の『白樺』と共に反自然主義の側であり、『早稲田文學』は自然主義を支えた文芸雑誌である。
讀賣新聞』も自然主義、『朝日新聞』は漱石が専属の作家になったことでも分かるように反自然主義の立場である。
ついでに言えば、芥川が拠った『毎日新聞』も反の側である。