夢野久作「押絵の奇蹟」

ユメキュー大好き人間であるオキヌちゃんが3人目の赤子を連れて参加したので、久しぶりに赤ん坊の声を聞きながらのゼミとなって微笑ましい。
正規の院授業でも中国の留学生が赤子連れで参加したこともあったけれど、大声で泣き出さないかぎり問題無い。

レポのオピッツ君がすでに発表したことがある作品とは知らずに許可してしまったけれど(おまけに一緒に発表したというクリマン君も参加)、本来は未発表のものに限るので今後発表する人は注意してもらいたい。
ただ前に発表したものとは内容が異なる場合は、その限りではありませぬ。
今回は内容が以前より進展したものということで収めておきたい。
それにしても少なからぬ知人が「押絵の奇蹟」について書いているとレジュメで知り、驚いている。
オキヌちゃんと同じくユメキュー・ファンのオミズちゃんが、ユースケ・ハマダマニア主催の『「新青年」趣味』に独自の切り口の論を発表しているだけでなく、千葉俊二・山口俊雄といった面々も論じているのは意外だった。
探偵小説・推理小説の類は特に不得意で論じることなど到底できないので、羨ましい気がしないでもない。
さてオピッツ君の発表だけれど、読んだばかりの彼の堀辰雄論で援用されているベルグソンを使い、押絵の作用を読み解くのかという予想は外れてしまった。
「ドクラ・マグラ」にはベルグソンが引用されていると教えてくれたけど、まったく忘れていた。
論文化を志向しているので詳しいことは記せないけど、クリマンを始め参加者から突っ込まれながら論理が明晰になって行くのが確認できた。
本人も自覚している通り、今後は論の落としどころを確定して行くのが課題だろう。
クリマン君の提起した同時代の方法意識との関連は、とても大きな問題でありいわゆる純文学と通俗小説との境界を超えて追求されなくてはならないと思うので、今後に期待したい。
今日、参加者から改めてとても有意義で楽しい議論だった、という感想メールが寄せられた。

@ プレミアムステージの秋元松代作・蜷川幸雄演出の「元禄港歌――千年の恋の森」を横目で見ながらブログを書いているのだけれど、演歌や地方の大衆演劇の雰囲気で全然馴染めない。
  秋元はやはり初期の2作品だナァとか、蜷川も残された余生の短さを考えると大衆演劇なんかに精力を注ぐのは止めた方がいいだろうに、というのが素直な感想。
  昔「NINAGAWAマクベス」を舞台で観た時の衝撃は忘れられない。