バッハの名による〜曲(補足)  芸術と弾圧  シュ・シャオメイ  ゴルドベルク変奏曲

今回はごく限られたコアな話題だから、クラシック音楽が好きな人だけに向けた記事ということになります(興味の無い人はスルーして下さい)。

先日の「ららら・クラッシック」でショスタコーヴィチ弦楽四重奏第8番が取り上げられたことを記したけど、冒頭に出てくるテーマがショスタの名前のアルファベットが表す音階にしたものネ。
その時にバッハの名前をテーマにした曲があると記したけど、すぐに思い浮かんだのはレーガーのもので録音・録画の記録によると「バッハの名による変奏曲とフーガロ短調(作品81)というオルガン曲だ。
レーガーは「モーツァルトの主題による変奏曲」というオーケストラの曲が知られているかな。
もっと有名な作曲家がバッハの名前をテーマにして曲を書いているはずだけれど思い出せないでいたら、今日偶然チェロ奏者だけの演奏会の録画を聴いていたらシューマンにも「バッハの名によるフーガ(作品60の3)」というのがあったのでお報せしておきます。
原曲の楽器は不明(ピアノ曲かな?)だけれど、この演奏会に参加したチェリストが編曲したらしい。
初めて聴いたけど、とても良かったナ。
シューマンの曲よりも演奏される頻度の高い曲があるような気がするけれど、思い出せない。
名前が曲のテーマに流用されるほど敬意を表されるのだから、バッハは偉大なんだネ。
でも同時代よりも後世の方が評価が高いそうで、メンデルスゾーンが再発見するまでバッハは忘れられた存在に近かったと聞いてビックリこいたことがある。
無伴奏チェロ組曲もカザルスが再発見して演奏するまで、ずっと埋もれていたというのも驚きだネ。
バッハの曲のなかでは取り分け「ゴルドベルク変奏曲」が好きで、原曲はチェンバロなんだろうけど昔ピアノの生演奏を聴いたことがある(ソ連のお婆ちゃんニコライエヴァ)。
3ケ月ほど前にBSプレミアムで中国のピアニストのシュ・シャオメイという小母さんがこの曲を演奏しているのを録画してあるのだけど、全然期待していなかったのにスゴク深く沁みてくる演奏なので消さずにいる。
毛沢東たちのオバカが文化大革命などやらかしたものだから、西洋音楽は何十年も遅れたままだと思い込んでいたらトンデモなかった。
親の地位が高かったためにシュさんも文化大革命の犠牲者で、ピアノを弾けなかった期間が長かったそうだけれど、逆境が人を育てる例にならって一級の演奏になっていると感じたものだ。
ピアノもイイけど、オープン・テープに録音してある弦楽3重奏版の編曲がまた素晴らしいのでおススメ!
ヴァイオリンがシトコベツキ(無伴奏パルティ―タ等も弾いてる)・チェロがマイスキーヴィオラがコーセという組み合わせなのだけれど、ヴァイオリンが奏でるテーマを聴くたびに胸の中が潤んでくるような気がする。
この曲はそもそも不眠症にかかった貴族のために作曲されたそうだけれど、確かに心底から癒されるネ。
チェロの部分は印象に無いけれど、ショスタコーヴィチスターリンフルシチョフに弾圧されないよう気を使ったように、マイスキーゴルバチョフ以前のソ連指導者に抑圧されて「狂人病院」に入院させられるなど苦労したとか。
そういう経歴のためかマイスキーは登場以来持てはやされているけれど、個人的にはあまり感心したことが無い。
ヨー・ヨー・マの艶やかな音色の方が断然イイと思う、マイスキーの師匠筋であり自動小銃片手にロシアの民主政治を守ったロストロポーヴィチ(エライ!)の演奏よりずっと好きだナ。
学芸大のオケでチェロを弾いていたケイちゃんもヨー・マが好きだという点で一致して嬉しかったナ。
ケイちゃんと同期のアイ〜ンと3人で楽しく話したのは、去年の学大国語科の学会の時だったかな?
ケイちゃんの卒論テーマはバッハじゃなくて稲垣足穂だったけど、その足穂にも興味を抱いているエトワール君が今月29日のヒグラシゼミ発表者。

音楽の話になるとキリが無くていけない、バッハの名による曲について補足するだけのつもりだったのに。