作田啓一『ドストエフスキーの世界』  バフチン『ドストエフスキーの詩学』

ドストエフスキー論がけっこう沢山集めたけれど、なかなか読む余裕ができない。
読みそうもない評伝などドストに詳しいツクホーシに上げたりしている。
作田氏のものは『恥の文化考』『深層社会の点描』『個人主義の運命』などを持っていて、全部読みたいと思っていながらも『個人主義の運命』(岩波新書)以外はほとんど未読のまま。
最近の若い人は読まないようだけど、非常に優れた論者だから手始めに『個人主義の運命』を読んでみることをおススメする。
若い人では珍しく天馬クンが作田本を読んでいたので、さすがに目の付け所が違うと感心したことがある。

ともあれ作田氏のドスト論も気になったままだったのを、先日気分転換に「未成年」論を読み始めたらとても役に立った。
役に立ったとヘンな言い方をしたのは、「未成年」は何度かチャレンジしたもののそのつど最初の方で挫折したのを、作田論を読んだら読みにくい理由と作品内容を詳しくまとめてあったので、生涯読まずに済んでもイイやと思えたからだ。
ついでに小林秀雄の「未成年」論を再読したら、やっぱり読みにくい・分かりにくい作品だとボヤいていたので妙な納得の仕方をして終えた。
他の作品論はまだ読む余裕は無いけれど、「作家の日記」論だけは読んでおきたいと思っている。
これも「作家の日記」は全集の2冊を持っていながら読んでないので、作田論で済まそうかと考えている次第。
ツクホーシは宇都宮の仲間たちと続けている近代文学ゼミで、1度ならずドスト作品を読み込んできたそうで羨ましい限り。
ボクもドストの主要作品を読み返したいし、その上で小林その他のドスト論を読みまくりたいのだけれど、そんな時がくるのかな?(その前にクタバルのかな?)
若い人に必読書として(再度)おススメしておきたいのは、(学大名誉教授のウッチー先生の愛読書である)バフチン・望月哲男訳『ドストエフスキー詩学』(ちくま文庫)だ。

ドストの没頭したいものの、坂口安吾高見順井伏鱒二萩原朔太郎などの全集がその前に立ちはだかっている、陽水の曲じゃないが「人生が二度あれば」!