東京学芸大学国語国文学会  鏡花「甲乙」論

イー君の本番の発表、ボクは寝過ごして最後の所しか聴けなかったけど、だいぶ刺激的な内容と受け止められ、多くの質問・意見が寄せられたのを聞くことができた。
「二人の芸妓」などテクストだけでは読み切れない問題はスルーして、イー君が読み切れた自信のあるところを中心に発表するように助言したのだけれど、敢えてスルーしたところに拘った質問がなされた点は不毛だった。
プレ発表も聴いてくれたヒッキー先生からは有効な助言がなされたように思ったし、久しぶりに参加した前助手のメイ(神村)さんからも、語りの参入による変更の問題という大事な問題の指摘があった。
発表後は大井田研究室に戻って、宮腰賢・山田有策両先生(名誉教授)からさらに詳しい「追及」がイー君に対してなされた。
実はヒグラシゼミで発表する前から、宮腰先生とは「甲乙」をめぐってやり取りをしていたので、そこから得たことをイー君には伝えておいたものの、「追及」ではさらに大所からの貴重なご意見を伺うことができ、イー君やルージュ(赤星)君が驚いていた。
宮腰先生の専門は日本語学なのだけれど、むやみと文学にも詳し人で、お話しにも出てきた村上春樹は全部読んでいるのみならず、ハルキ文学が本質は「物語」であることを見通した上で鏡花の「物語」性とリンクさせながら展開して下さった(「物語」と「小説」の対比は有策先生のご著書から吸収したとのこと)。
以前にもイー君にヒグラシゼミで発表してもらったことがあるけれど、今回は飛躍的に「成長」しているのでボクも驚いている。
種々いただいた助言を消化しながら、論文化に励んでもらいたいものだ。