魚住孝至(放送大学教員)  広く・浅く  クイズ東大王 人間としての魅力  伊集院光

 放送大学教員で、1人じゃ講義できないほどのボケ老人にいつまでも担当させるのは如何なものか、という問題点を指摘しつつ、大学に限らず機能しなくなった教員を「保護」し続けるのは教育の腐敗につながる、という問題を提起をして以来沈黙しているように見えるかもしれない。ヤリ玉に上げた当事者もだいぶ落ち込むほど効力があったようなので、いったん鉾(ほこ)を収めたところかな、何せ忙しいし。

 定時制高校の教員を7年勤めていた頃、当時都立高校教員組合の組織率が高い(93%?)のを背景に定年制が無かったため、教育ができなくなったダメ老人が、いかに生徒たちの向学心を殺いでいたかを己が目で確認しつつ、その手のダメ教員は辞めるべきだと発信したものだ。日教組の組合員でありながらも管理職を喜ばすような反組合的言動だったけれど、自浄能力のない組織は生徒に害を及ぼすのを止められないと考えての行動だった(校長・教頭に対しても、主任制問題で闘ったのは言うまでもない)。

 

 また前振りが長くなったけど、放送大学で気付いたのは、最近魚住孝至という人の薄っぺらさかな。よく言えば実に広く・浅くカヴァーしていると感心するくらい何でもこなして講義している。武道についても解説するくらいだから正座して話すこともあるけれど、テキストを見ながらなのにカミカミですんなりと講義できないのが笑える。精神統一がなってないゾ! ラジオも聴いたけど、姿が見られないせいかカムのが少ない印象。

 それはともかく、広く・浅くというつながりで「東大王」という(?)クイズ番組の常連学生を想起したものだ。ボクの学生時代からもクイズ好きなのもいたけれど、今やテレビ番組の常連となるほど流行しているのかと呆れている。何の役にも立たないような雑な知識ばかり詰め込んでチヤホヤされているのは、いかにも「東大」らしい皮肉なイメージで世間でもバカにされているのかと思いきや、少なくとも出演者は揃って感心しているように見えるのだからザンネンだ。知識を集めるだけでは絶対に《教養》にはならない。だから知性を感じる伊集院光さんには、クイズ番組などで貴重な時間を無駄にして欲しくないのだナ。

 

 ボクはムダな知識だけはあるけど根はバカという「東大」のイメージが大嫌いで、現役の時は創造力のある京都大学を受験したのだけれど(「サル学」に、続いて「京都哲学」に憧れていたのは無知のなせるワザ)、クイズ番組には京大卒のロザン宇治原が出ることもあるので、「京大」のイメージを壊すから本職であるはずの漫才の技を磨いて欲しいと思っているヨ(漫才はツマラナそうだから)。いずれにしろ、クイズを得意とするような連中は人間としてツマラナイ存在だ、という目で見てもらいたいということだネ。知識の集積はコンピューターにかなわないのは明らかなんだし。