【読む】勝海舟  「氷川清話」  松浦玲  

 老後の読書として種々の書を買い溜めてきたけれど、先日たまたま海舟の「氷川清話」を見つけたので休憩時間に読んでいる。実に楽しいのでテレビを見ながらでも読めるから、読むのが自ずと頭の休憩になるという次第。学生時代に江藤淳の「海舟余波」(余波は夜話を捻った表題だと記憶している)を読んで以来、海舟に対する関心はつのる一方だったので、6センチはある分厚い松浦玲の『勝海舟』(筑摩書房、2010年)を吉祥寺の古書店で見かけた時にすぐゲットしてあった(定価の3分の1だった)。旺文社が1980年代初頭に出していた「現代の視点・戦国・幕末の群像」というシリーズの海舟も、西郷隆盛・榎本武楊と共に買ってある。こちらは写真が豊富なので、視覚的な楽しみもある。

 ともあれ、皆さんには「氷川清話」をおススメ!(岩波文庫などにもなってると思う)江藤淳をはじめ多くの指摘があるとおり、(海舟の談話を書きとめたという形で)実に生き生きとした文章で楽しい。読みやすい文体で幕末の西郷・武揚・木戸孝允横井小楠などの「英雄」たちが、絶賛されたりボロクソに言われたりで面白くてしかたないヨ。誰しもがファナティック(狂信的)にならざるをえない時代において、海舟の柔軟な現実主義的対応がいかに貴重だったか身に沁みて理解できるというもの。江戸城無血開城だけではない、スゴイ人物だと思うネ。