【状況への失言】戦争犯罪人・プーチンのウクライナ侵略(13)  浅田彰と先崎彰容  オブライエン(村上春樹訳)「本当の戦争の話をしよう」

 殺人鬼・プーチンが残虐さを発揮してウクライナ人を殺傷するニュースが伝えられ続けるので、このところなかなか落ち着いて本を読んだりすることができてない。考えることもウクライナを離れることが少ないので、「状況への失言」を書かずにはいられないので次ぎ次ぎと書きつぐことになる。

 

 BSフジの「プライムニュース」はMCの反町理の態度が尊大なこともあり(コメンテーターに対してナルホドを連発するのが上から目線に見えたものだが、最近は反省したかも)、ウクライナ問題がテーマになる最近は2度ほど見た。浅田彰と先崎彰容(あきなか)との対談は想像を超えてヒドイ内容で、薄口で知られる古市憲寿も呆れるほどのレベルだった。国際政治だけに抽象的な思想を扱う2人にはやっぱり荷が重すぎる問題だったネ、その割には2人ともむやみと饒舌なので笑えたけどネ。

 それに比べると政治を専門にする畔蒜(あびる)泰助・鶴岡路人・手嶋龍一の3人の時の話は、初耳のことも多くて役だったヨ。アメリカ政治専門の手嶋さんによれば、CIAのバーンズ元長官が早くからロシアの侵略の動きを察して警告していたものの、トランプがウクライナを無視した(アメリカ・ファースト)のをはじめとしてアメリカがロシアを軽視・無視し過ぎたのが、今回のプーチンの侵略を許したのだという。その点ではバイデンもNATOも同列ということになるけど、イギリスについてはイギリス在住のブレイディみかこさんの分析があるので次回に。

 

 ベトナム戦争アメリカは50万人の兵士を動員しながらも大敗北を喫したけれど、ロシアもウクライナ軍の想定外の強力さでロシア兵の被害も相当数に上っているのは嬉しいかぎり(もちろん兵士の死そのものを喜んでいるのではなく、プーチンの妄想のために死を強いられているロシア兵の死を悼む気持は惜しまない)。兵の死者数が増えれば、プーチン政権が倒れる可能性が高まる可能性が出てくるからネ、チェチェン紛争の時のように死者が想定外に増えるので撤退したようにネ。

 ロシア兵の死者はウクライナ側の発表では早くから1万を超えていたから、少なくとも5000名を超えるのは間違いないだろネ。だからこそプーチンが好条件でシリアの傭兵を雇ってロシア兵の弱点を補おうとしているのだけれど(それにしてもシリア傭兵が応じるのは、あまりの極貧生活からの脱出願望だという証言は納得できる)、戦闘意欲の無いロシア兵の代わりにシリア傭兵を導入したら、ウクライナ人の犠牲は計り知れない数にのぼることだろう。ヒドイ話だけど、まさに殺人鬼プーチンらしいネ。

 ベトナム戦争の例を出したのは、ロシアが当時のアメリカと同じように兵隊たちの戦闘意欲が減退するばかりだと言いたいのだネ。先般のウクライナ南部の市長がロシア兵に拉致されたものの、ロシア兵の捕虜8人(?)と交換で解放されたという報道があったけど、戦死だけでなく捕虜となるロシア兵も数知れないのだろうネ。当初演習だと知らされた20歳前後と思われる徴集兵が捕虜になり、ロシアの母親と鳴きながら電話している姿が報道されたのはインパクトが強かったネ。

 ベトナム戦時のアメリカ兵の厭戦気分は、オブライエン(村上春樹訳)「本当の戦争の話をしよう」に実によく表れている。ソンミ村を焼き尽くして国際法で処罰された(?)ような非人道的な事件も、兵たちの厭戦気分と無縁じゃなかったと思えるネ。プーチンのニセ情報を信じ込んでいるロシア兵の、ウクライナ人に対する憎悪による爆撃・砲撃などの残虐行為は、厭戦気分とは同列に語れないけどネ。

 ともあれハルキの訳し方がハマっているせいもあるとも思えるので、小説のみならずハルキの翻訳もライ麦ばかりでなくオブライエンも読んでもらいたいネ。(長くなったのでまた!)