ますますボケ進行が勢いを増したのか、授業記録を記すのを忘れていた。
9月26日は秋学期の初日だったけれど、顔合わせだけで終るという無駄を省くために杉本クンに活躍してもらった。
日にちが経ったので細部の記憶は薄れているけど、立教院などでも取り上げたことのあるこの作品ながら、新しい議論を聴けた印象が強い。
レポの杉本クンや関口クンがボクの苦手な探偵小説や推理小説に詳しいお蔭だったろう、作品の外側の情報もいろいろ教えてもらった気がする。
特に面白かったのは初出誌の挿絵の読み方で(当時は挿絵画家の名は記さないということも教えてもらった)、火事の風景でビルの屋上から男が望遠鏡で覗いているのは着物を着た女だ(それも火事がらみで八百屋お七かも)という解釈。
初めて見る挿絵だったけど、火事だとは言われないと気付かなかったものだ(そうではない可能性もあるが)。
女の姿も着物とも思えないし、まして八百屋お七は読み過ぎのような気もするが、その意欲は買える。
また先行研究、殊に優れものの浜田雄介氏(ボクがユースケ・ハマダマニアと呼ぶ後輩)の論にたいして挑戦的な姿勢がとてもイイ。
問題はテクスト自体をどう読むのか? という点がまだ煮詰まっていないということ。
モダニズムという観点だけでは道は開けにくいと思う。
作品外の情報に対する遠心力が、テクスト分析に向かう求心力を阻害することないように自覚しておくべきだろう。