今、BSプレミアムで時々やっている「深読み読書会」で井上靖「敦煌」をやっている。
あまり期待しないで、聴きながらメールのチェックやブログを書いているところ。
作品のレベルがあまり文学的には高いと感じてなかったので期待しなかったのだけれど、議論がむやみに深いので感心している。
高橋源一郎や小林信彦という「深読み」ができる読み巧者のみならず、中島武志という政治学者(ホンモノの《保守》思想家として紹介した)がまた「与格」という興味深い読み方を提起して感心するばかり。
のみならず飾り物として呼ばれた極めつけのイラン人美女、サヘラ・ローズがまた自分なりのステキな読みを3人にぶつけて引けをとらないので、見栄えだけで留まらない。
特に主人公と西夏の王俗女性とのロマンスの箇所で、女性を月に重ねて女の「愛」を強調して3人に異論を唱えるところは、この美女全然バカじゃない。
今どきの日本女性からは感じられない、《100%スレてない女性》の典型であるサヘラらしいネ。
この辺りと最後の場面の箇所で、バック・ミュージックでマーラーの交響曲第5番のアダージョ(以前にも紹介したネ)を流しているところは、音楽に詳しい人には笑える。
何せ映画「ベニスに死す」で使われて以来、むやみに有名になった曲だから「ここで使うのかヨ?!」と突っ込みたくなるだろネ。
後回しになったけど、中島さんが言う「与格」というのは、ある言語では《主体に何かが外から入って主体を動かす》場合の文法表現なのだそうだ。
日本文学ではけっこう使われている可能性がありそうで、とても興味深くて使いたくなるネ。
ともあれ再放送をお見逃しなく! ボクも録画するつもり。