【読む】友川カズキの半生  

 朝日新聞の「文芸・文化」欄の「語る――人生の贈りもの」のコーナーで、まさかの友川カズキが取り上げられている(全10~15回)。まさかというのは、知ってる人は少ないだろうと思うから。宇都宮大・東京学芸大で詩の授業をやった際には、中原中也の詩に曲を付けたものを聴いてもらったので、受講していた卒業生は覚えているかもネ。LPレコードに10曲ほど録音したものをカセット・テープにダヴィングし、教室で聴かせたものだ。《お前は何をしてきたのだと/吹きくる風が私に言ふ》で有名な「帰郷」の曲はうるさ過ぎで好まないけど、「湖上」の《ぽっかり月が出ましたら/船を浮かべて出かけませう》はサイコーだネ。

 第1回の人物紹介に、今年2月映画「どこへ出しても恥かしい人」が公開と記してあるけど、そんな映画知らなかったナ。きっと楽しい映画なンだろうけど、1950年生まれというのだからボクとほとんど同じだネ。青森かと思っていたら、秋田生まれとのこと。青森と思い込んでいたのは、確か肉親が自殺していたので三浦哲郎と同じように考えていたからだネ。大好きなちあきなおみの異色な曲、「夜を急ぐ人」はカズキの作詞作曲だヨ。本人の曲では「生きていると言ってみろ」がスゴイ!

 第3回は中也との関わりを語っているけど、曲を出す許可をもらいに中也のフクさんに会いに行ったら、弟の思郎さんが1升瓶を持ってきて、デモテープを聴いたとたん号泣したというのはイイ話だネ。