【近況】飛んだ事件

 大相撲を消音して見ながら本を読んでいたら、最後の5番くらいになるイイ時に困り顔のジャミラに呼ばれて2階に行ったら、迷い込んだ椋鳥(むくどり)が出口を求めて飛び回っていた。大き目の窓を開けたのだけど、天井が高いわりに窓が低めなので気づかずに飛び回っている。ジャミラは「鳥は虫よりバカだ!」と、ワケの分からないことを叫んでいる(もっとバカなニンゲンも身近にいるゼ、と内心で叫んでやった)。捕虫ネットが無いので手の下しようがないと困り果てたものの、玉網(釣った魚を捕り上げる網)があったことに思い至って笑いが洩れたネ。

 それでも(折り畳みの網なので)組立るのに手間取った上に、長過ぎる(全長4メートル超だけど先の部分だけ伸ばした)ため部屋の中では振り回すことができないので、飛んでいるところをすくい取るのが困難だった。テレビで相撲を点けて横目で見ながら椋鳥と熱戦を続けること30分近かったかな。ボクの本などの置場になっているロフトに隠れていると網が使えないので、ロフトが無い空間に追い出して網で捕まえようとするのだけど、なかなかチャンスが無いのだネ。

 (その間、予想どおり照ノ富士が勝って朝乃山が負けたのをシッカリ見ていた。)

 何度か空振りした後でやっと網の中に捕えたものの、今度はカスミ網に捕らわれた鳥の状態ではずれない。感染予防の薄いゴム手袋をはめ、暴れるのでタオルで包んで落ち着かせ(目をおおえばワニでも静かになる)からんだ網をはずそうとしたのだけれど手間取った。網の糸を切れば解放しやすいとは思ったものの、また42センチの大カレイを取りあげる機会を想像すると切るのは危険だ。躊躇(ちゅうちょ)していたところにジャミラが「切れば」と言ってハサミを持ってきた。自分の物ではない時のジャミラの冷酷さは、ご存知のとおりだろう。4本ほど糸を切ったら、自由の身になって飛び去ってくれた。

 一件落着、きわめて珍しいことに、ジャミラが「お疲れさま」とつぶやいていたヨ。ボクは黙って1階の自室に戻ったけどネ。