【読む】疋田雅昭『トランス・モダン・リテラチャー』(ひつじ書房)

 既に紹介したヒッキ―先生の近著だけど、改めて記すのは後書きにも注目してもらいたいからだ。先日のヒグラシゼミの時にも、休み時間にこの書が話題になっていたし(ヒッキ―先生から直接買えば2割引きのはずだヨ)、ボクも本書で論じられている作品を古書店などで見かけるとゲットしているヨ。何せ副題に「芥川賞作家の現代小説分析」あるとおりなので、あまり現代小説を読んでこなかったので手もとに無い作品が多いからネ。それはともあれ、持っている人で後書きを読んでない人は是非一読してもらいたいネ。というのも、ヒッキ―先生の意識・姿勢などはボクと共通するところが語られているからだ。要点だけをピックアップするだけでも伝わるだろう。

 《こうした文学への態度を、自分は、現在の環境あるいは学生達との学びの中から教わった。本書が「読む」という態度に徹底的に拘った理由はここにある。》

 《だが、私にとって、文学(学問としての文学)の意義は、現在の職場環境(教育大学における教育領域が専門ではない教員)としては、逃げるわけにはいかない問題でもあるのだ。》

 これらが『シドクⅡ』の前書きのもの言いに通じていることに、気付いた人もいたかもしれない。ボクに引き寄せて言い換えると、ヒッキ―先生が教育学部の教員になってまだ日も浅いのに、早くも現在の己の立場を明確に自覚して処していることに感謝するばかりだということだ。単に能力のある人というに止まらない、学大にとってありがたい教員だということだネ。学生のみならず、卒業生もヒッキ―先生から精一杯吸収させてもらうことだネ。