【見る】ヤドカリの生態  「ワイルドライフ」  目取真俊「魂込め」と「水滴」

 ちょっと重い記述が続いたかもしれないので、軽くて面白い情報を。

 いま大好きな番組「ワイルドライフ」(NHK)で沖縄大ヤドカリを見ているのだけど、いつも動物について実に興味深い知識を伝えてくれて衝撃を受ける番組の中でも、今回は空前絶後の面白さだから絶対おススメだネ。

 釣り部の活動をしているとカニやヤドカリをよく見かけるのだけど、ヤドカリの生態についての知識は皆無だったので「まさか!」の連続だったヨ。沖縄にいる5種類のヤドカリの中には、1種鳴き声を出すのがいるのはビックリ。5種類とも脚は5対で10本あり、貝の中にその2対があって下半身の掃除をしたりフンを外に運び出したりしている映像も驚きだネ。ケッサクなのは身体が成長して貝が小さくなると、手頃な大きさの仲間を襲って奪ってしまうのだけど、奪われた方はまた自分より弱いのを襲って奪うという連鎖は笑えるヨ。

 ヤンバルクイナで知られた沖縄本島のヤンバル(山原)の奥にも生息しているというのも驚きだったけど、ヤンバルクイナがエサとなる貝と間違えて貝殻を割ってしまうというのもチョッと笑えた(中身がカニだと分かると食べないそうだけど)。ヤドカリは雑食で植物の葉や動物の死骸を食べているけど、他の生物と同じくプラスチックゴミを間違えて食べてしまう被害が増える一方だというのは残念で悲しい。ナレーションが「私たち人間の将来だ」という言葉が強く響いてきたネ。

 

 中学生の頃だったか、自家の傍に流れている広瀬川(朔太郎の詩にも歌われている)から水を引いている小さな川があり、その取水口の辺りで3センチくらいのヤドカリを見つけて驚いて持ち帰ったことがある。バケツに砂と水を入れてしばらく飼っていたけど、いつの間にか逃げられてしまった。忘れた頃に台所の辺りで見つけてその生命力に再度驚いたけど、その後の記憶は失われたままだ。ヤンバルの奥でも生きているオカヤドカリを見て想起したしだいだネ。

 

 沖縄のヤドカリというと、ブログでも1度ならず推奨した沖縄の作家・目取真(めどるま)俊の傑作「魂込め(まぶいぐみ)」が忘れられない。魂が抜けてしまった登場人物の体内に宿ってしまうオカヤドカリ(アーマン)という設定のスゴサに圧倒される。「水滴」と共に読まないと損する作品だよネ。先般タミルさんが目取真を読み始めたとメールくれたのは、とても嬉しかったネ。皆さん、タミルに遅れをとるナ!

 亡友のシュンテン(花田俊典)の遺志を汲んで、上記2作のどちらかを教科書に載せようと尽力したものの上手く行かなかったのも残念至極。高校生にも読ませたい作品だヨ。