高木仁三郎  前橋高校  小栗康平

以前この欄で、数十数年前に竹内という名の物理学者が原子力発電の宣伝のお先棒を担いで、「私は地震が起きたらこの発電所の中に逃げる」と断言するほどの醜態をさらしていたことを記した。
その時に命がけで原発に反対している学者がいたことも指摘したものの、正確な名前を思い出せないまま記さずにおいた。
先日、自家で小林秀雄の資料(コピー)を探していたら、前橋高校の『同窓会誌』40号(2001年)が出てきたので何故保存? と思って開いたらグラビア欄に高木仁三郎さんが特集されていた。
名前を失念していたのは正にこの人であって、何となく群馬県人だという記憶があったものの、高校の大先輩だったと知って嬉しい驚き!
残念ながらガンで亡くなったのを機に特集されたもので、記事には《75年原子力資料情報室設立に参加し、(略)プルトニウム利用政策の危険性を世界に警告し(略)97年もうひとつのノーベル賞と称えられるライト・ライブラリー章受賞。》とある。
掲載されている写真はどれも反原子力の言動に関わるもので、その中の一つはプルトニウム輸送に反対して(当時の)科学技術庁前でハンスト(ハンガー・ストライキ)を行っている姿で強い感銘を受ける。
高校の先輩であることを抜きにしても、感動と勇気を与えてくれる人物だ。
この会誌を保存していた理由が納得できたけれど、この号には映画監督の小栗康平のエッセイも載っているのがスゴイ。
佳作の監督ながら傑作中の傑作「泥の河」(原作・宮本輝)を観て感動しない人はいないだろう。
原作が島尾敏雄で話題になった「死の棘」も次におススメ。
会誌に掲載されている「眠る男」はツマラナかったけれど、現在フランスで撮影中だというフジタ(藤田嗣治)を主人公にした映画がとっても楽しみ!
たった今もマエタカ(前橋高校)の大先輩である亀井秀雄さんと編集委員を務めている桐原書店の教科書の仕事中なんだけど、NHKEテレ知恵泉」の長宗我部元親の特集を見ながらの骨休みで記したしだい。