旦敬介「アフリカの愛人」  リロイ太郎

遅まきながら日曜のヒグラシゼミの感想を。
作品も面白かったけど、発表がそれを上回って面白かった、さすがはトミー君。
目の前に展開されている現代文学を理解するのは、対象との距離が取れないので困難を極めるというのは昔から言われていたことながら、実際に試みるとその難しさが実感できる。
いずれ論文化されるだろうから詳しい内容は記すことはできないので、お楽しみに! という外ない。
ただ個人的には「リズム」という捉え方がイマイチ伝わってこなかったのと、カタルシスという用語よりカタストロフィという言葉の方が相応しいとは感じた。
それにしてもこんな内容が実話に基づいていたとは驚きで、語り手の「僕」のモデルが実在していてその「リロイ太郎」という芸人が3年ほど前のテレビ番組で母親探しにアフリカに渡ったそうだ。
その時は不明だった母親は、今では亡くなっているのが判ったそうであるが、やはり事実は小説の面白さには及ばない。
でも大学入学同期で共同通信社に就職した仲間がケニア支局で何年か仕事をしていたことを思い出し、テキストとレジュメを送ったら自分が体験したケニア・アフリカの感じがよく描けていると感心していた。
あまりに共感できたので、旦敬介のエッセイ(?)をアマゾンで注文したとも言っていた。
こちらはむしろ小説の登場人物と同じような体験をした人間が身近にいたことの方に驚いたのだけれど。
その友人とは、最近年に1度は会うことになっている集いで、今月半ばに会うことになっているので「アフリカの愛人」にも話題が及ぶことだろう。