横光利一「マルクスの審判」  研究を持続する意欲  横光嫌い?  学会からの脱会

志賀直哉「范の犯罪」のパロディと言い切りたい作品だし、そうでなければオソマツ過ぎる仕上がりの愚作だと思う。
そんな作品をマンジュが取り上げた蛮勇に敬意を表しつつ、発表と議論を楽しんだ。
先行研究など無いと思っていたらけっこう揃っていたのに驚いたけど、マンジュはそれに刺激されて論じる気になったとのこと。
作品に対する評価も、マンジュ始めヒッキー先生もボクほど低くなかったのも驚きだった。
「愚作を論じてもイイ論文にならない」というのがイチロー語録(多くは下ネタ)にあるけれど、マンジュはまだ落としどころを掴めてなかった。
こんなテクストで掴みようがあるのか? とは思ってしまうけど、先行論文もあるのだから何とか落としてもらいたいものだ。
院を修了した今年から教育現場に入ったのに研究発表をする意欲には敬服しているので、ヒッキー先生の指導宜しきを得て続けてもらいたい。

それにしても横光利一は「機械」以外はツマラナイ作品が多いせいか、論じる気になれないのを改めて確認した。
石田仁志・中村三春・十重田裕一等々のツワモノ達が立ち上げた「横光利一研究会」(今は「学会」とか)には当初から入会していたものの、退職が近づいた頃だったか脱会したのも横光に対する関心が持続しなかったからだ。
来年は古稀となるので、ボケる前に「近代」も「昭和」も学会から抜けることにしてある。
興味ある大会や研究会には参加するつもりではあるので、我のみならぬ昔馴染みの皆さんの衰退ぶりは拝見できることだろう。