【観る】石田徹也  岸田劉生  「アート・ステージ」 グローバーは不要  

 最近話題にしていない美術について語りましょう。

 

 新聞は主にスポーツ欄を読むとジャミラに渡し、戻ってくると後で読むページだけを抜き取って保存しつつ読んで行く、ということは記したことがあった。盆帰りの間のものである8月20日の新聞がジャミラから回ってきたのを見て、チョッと残念な思いをした。好きな注目している画家の石田徹也の記事が載っていたからで、何とスペインで個展が開かれ「熱い視線が注がれている」(記事の言葉)そうだ。

 あまり知られていない画家だろうけど、「生きづらさや閉塞感が漂う」(同)作品は一目で惹きつけられるのではないだろうか。検索してみたら、多くの石田作品が収蔵されている静岡美術館その他の作品が載っていたから、百聞は一見に如かず、ぜひご覧下さい。新聞に載っていた作品の1つは「囚人」(1999年)で、校舎を身体としてそれに匹敵する大きさの少年の頭が出ている構図でギョッとするだろう。校庭には同じ年頃の小さな少年たちが、同じ服装・姿勢で直立した姿で点じられている。学校という組織内で生きることを強いられる子供たちの「生きづらさ」が一目瞭然で、強いインパクトで迫ってくる。

 全てこの手の作品で、何よりも作者自身の「生きづらさ」が表現されていると見られるけど、2005年に32才で早逝したのは踏切事故と言われているものの、私見では自殺としか思えない。それほどにもツラさが伝わってくるのだナ。それは画像でも伝わるだろうけど、ボクは在職中だったか都内の回顧展を見逃したので静岡まで現物を観に行って、現物のアウラ(オーラ)を身に浴びて衝撃を受けたものだ。

 静岡の焼津に生まれて(我らの金城孝祐画伯の出身校である)武蔵野武術大デザイン学科を出たそうで、今回マドリード国立美術館で展示されるきっかけは、2015年のベネチア・ビエンナーレが機縁だったとか。石田徹也が日本だけでなく、世界でも認められるのは意外でもあるけどとても嬉しい。

 

 新聞の広告欄で知ってはいたけど、先日の「アート・ステージ」(東京MX、土曜朝10時半~)で岸田劉生が取り上げられ、改めて感銘を受けた。この番組を以前から観ているけど、前は声だけだったグローバーがこのところ顔まで写るようになり、不快さが増している。何人(なにじん)なのか不明ながら、日ハムのロドリゲスという投手そっくりで同一人物ではないかと思わせる程。東大の美術学科を出たのが唯一の売りらしいのだけれど、この手の男の嫌らしさが全開で押しつけがましい。野太い声のせいかもあってか、声だけで厚かましさが迫ってくる類の存在だったのに、大きめのガタイまで現すようになたので観づらい番組になってしまった。

 藤井ひさしという番組構成をしている専門家がいるので、グローバーは控えているのが救いで観ていられるけど、全く要らない存在だネ。「ぶらぶら美術館」のおぎやはぎ小木博明のような完璧なバカではないけれど、バカではないだけにドヤ顔(ドヤ声)が不愉快そのものでウンザリだネ。せっかくの番組が台無しだヨ。

 

 肝心の岸田劉生だけど、誰でも知っている麗子像(数ある中から「五歳之像」が展示されている)も申し分ないけど、個人的には「道路と土手と塀(切通之写生)」がおススメだネ。学生の頃だったか、一目で惹きつけられ圧倒されたのを覚えているけど、実物を観るのは今回が初めてなのでとっても楽しみ(『シドクⅡ』の作業が終ったら観に行く)。

 10月20日まで、東京ステーションギャラリー

 来週29日の「日曜美樹幹」でも取り上げられる予定のようだネ。