【見る】100分で名著   西田幾多郎「善の研究」  若松英輔

 「善の研究」を取り上げてくれるとは嬉しいネ、もう2回分が終ったけどいずれ再放送されるだろう。高校時代から意識していながらも、読まずに通してきた哲学書だから(自家のどこかに文庫があると思うけど)。でも期待した割には面白くないのは、すでに知識として入っている範囲をあまり抜け出ていないせいかな? 解説の若松英輔氏は、4つの章を大胆な順での読み方を勧めていているのだけれど、その割には面白さが伝わってこないのは原典自体が面白くないせいかな? あるいは原典の考え方が、別の思想家などを通して今や共通認識として広まっているからかも。

 若松氏は小林秀雄論を出版していてマギー(大國真希)から勧められたのだけど、目次を立ち読みした限りでは全然刺激的でないので、小林を論じたことのある身にとっては読む気がおきなかった。若松氏は「善の研究」以前にも何かを担当していて、誠実な姿勢で分かりやすく解説してくれる人という印象を持っているけど、小林秀雄に関しては表層をなぞって分かりやすくできるところだけを自分なりに噛み砕いているだけの感じだったのだネ。小林のテクスト(本文)を読みこむというより、自分に惹きつけてしまうから小林を読んでいる感じがしないのだナ、若松秀雄になっているツマラナサなんだナ。先行研究に対決することを怠っているせいもあるネ。ボクの読み違いかもしれないので、今度本屋に行ったらもう少し丁寧に若松さんの小林秀雄論を理解しようと努めよう。

 番組では伊集院光が相変わらず理解力を示しているネ。