【読む】金城孝祐「教授と少女と錬金術師」

 今さらカネシローの小説を取り上げるのは? と思うよネ。このところ古新聞の切り抜きを整理していることは記したけど、全然記憶になかったすばる文学賞受賞作品が朝日の文芸時評で取り上げられているのを見つけた。評者が最近大学院の授業でもその著書をヒッキ―先生が取り上げている松浦寿輝(まつうらひさき=詩人・作家)だからスゴイ。時評の小見出し(新聞社が付けた?)が「新世代の出現」というのはイイけれど、「疾走するホラ話」は当っているもののあまり喜べないかな。それにしても上手い表現で、ボクの読後感を代って言い尽くしてもらった感じだネ。

 《思いつくままに書いていったという体の、およそ馬鹿々々しいお話だが、このノンセンスの疾走感はわたしには案外快かった。てんこ盛りのスラプスティックなギャグも、あちこちで滑りまくっているものの、そのくだらなさに作者自身が照れてしまわず、大真面目を演じ通している点に好感が持てる。》

 2013年というのだから、意外に時が経っているので驚いたけど、その後が出てないのが淋しいネ。もちろんボクの『シドクⅡ』の表紙絵のために小説がおろそかになったわけではないヨ、絵はすでに描いたものから選んでくれたのだし。ともあれ作家センセイの小説を未読の人がいれば、アマゾンで取り寄せても読んで欲しいネ。