【読む】『論樹』第31号  『文藝空間』第14号

 『論樹』は毎号紹介しているけど、最新号は2年ぶりとのこと。東京都立大学の教員や院修了生たちが支えているレベルの高い研究誌。関係者の絶対数が少ないので、掲載論文は毎号少ない。本号も4本の論文のみながら、評論家としても知られる大杉重男さんはじめ、一葉や眉山論を載せている人もいる。途絶えることなく刊行されることを望んでいるヨ。

 

 『文藝空間』は原善さんが発行人で前号までは薄い冊子だったけど、本号は川端没後50年特集号ということで1㎝以上の厚さに20名くらいが寄稿している(販価1500円)。原善さんが川端研究を支えてきた人だけに川端論が並んでいるけど(冒頭に詩や小説が載っているのはキモチ悪い)、中にはヒグラシゼミで講演していただいた高田知波先生の「雪国」論が掲載されているので、いつもより雑誌のレベルが高まっている印象。実は昔からの知人である原さんが優れた川端論を探していると聞いたので、ドラちゃん(高田)先生の「雪国」論を推薦した次第。ドラちゃんは量産している作品論は未発表のままでイイと言っていたけど、せっかくのスゴイ研究者の独自の作品論を埋もれさせたくないからネ。

 高田先生はヒグラシの発表者がいなければ、また講演で穴埋めしてくれると言ってくれているヨ。毎回面白い切り口で作品を分析して見せてくれるので期待されるけれど、本来の目的である卒業生の発表が継続されないというのも淋しいから複雑な思いだネ。