【読む】大原祐治さんの安吾評伝(2)

 きのう紹介したけど、予想を超えて長文になってしまったので早口になり、言い残してしまった気もしているので・・・

 むかし江藤淳を読んでいたら、イギリスでは古来評伝というジャンルが重視されているものの、日本ではなかなか評伝が正当に評価されていないのは欠落であり残念だと言っていたのを覚えている。小林秀雄も同じようなことを言っていたのに影響されたのか(?)、その手の評伝をむかし100均でゲットしたのがあるはずだ(たぶんロフトの物置)。

 ともあれ前回も言ったようにこの書は評伝というジャンルで優れた結果を出したものと言えると思う。江藤淳小林秀雄論の一書もそうであろうし、古くは中村光夫の『二葉亭四迷伝』が思い浮かぶネ。江藤の書は時々牽強付会になるところが難点だけど、大原さんの書は安吾の初心者にも専門家にも面白く読めるように書かれている。それもそのはずで大原さんのこれまでの論を踏まえつつも、読みやすくまとめているからだネ。 時系列に沿って書かれているので、安吾に詳しくない人は最初から読むといいだろうし、ボクみたいに読みたい所から読んでも楽しめるネ。序章を含めて全9章がそれ自体で完結しているから、関心のあるところから読んで楽しめるネ。目次も詳しいので、作品名を探してそこを読めば大原さんの作品論も味わえるヨ。

 安吾についてはこうした本が無かったので、一家に一冊! おススメだヨ。