【聴く】ネトレプコ(ソプラノ歌手)と井上道義(指揮者) ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲

 新聞に21世紀を代表するソプラノ歌手のリサイタルの宣伝が載っていた。プーチンを支持したのかどうかは不明ながら、ロシア人ということで専属のニューヨークのメトロポリタン歌劇場をクビになったので、久しぶりに来日公演することにしたのだろネ。日本人としては大歓迎ながら(テレビでリサイタルの録画を流してくれないかな)、ネトレプコ本人の気持は不安定だろネ。育ての親たる指揮者ゲルギエフプーチンの侵略行為を否定しなかったため、ドイツのオケから専属契約を解消されたと聞いたけど、ネトレプコもそうだったのかな?(そういう情報は聞いてないけど)

 指揮者と言えば、朝日新聞の連載「語る」が指揮者の井上道義になったので毎回楽しみにしている。彼が戦争直後のアメリカ兵の落し子だとは初めて知ったけど(育ての父は日本人)、それをネタにしてオペラを作ったというのはもっと驚いたネ。初めて知った別の驚きは、井上がカラヤン以上とも評価されていたチェリビダッケから指導を受けていたということ。

 チェリ(略称)はクロウト好みで時に歴史的名演をするのだけど、カラヤンと正反対で録音を残すことが大嫌いだったから、今の人間にはなかなかその真価が伝わらないのが残念。ボクは昔FM放送でプロコフィエフの「ロミオとジュリエット」を聴いてビックリしたのを忘れない。信頼する批評家である中野さんも「ムラビンスキ―(レニングラード・フィル)の生も聴いたけど、それよりスゴかった」と言っていたのが分かるほどチェリはモノ凄かったネ! ムラビンスキ―といえばソ連を代表する泣く子も黙る指揮者だったからネ。

 そのムラビンスキ―を『ショスタコーヴィチの証言』(中央公論社)でスターリニストで音楽のセンスが無いとこき下ろしていたショスタコーヴィチの音楽が最高だ、と井上が語っているのも納得だネ。ソ連当局を意識したためだろうけど、ショスタの交響曲はじめ管弦楽曲はハデだから井上に合うのだと思う。ラジオの解説(評論家の名は忘れた)で記憶しているのは、ショスタは交響曲第4番をモダニズム(西洋的)だと批判されてからは、「本心」を室内楽で表現したとのこと。室内楽曲は管弦楽曲とは異なり目立たないからネ。ショスタの弦楽四重奏曲は7曲とも素晴らしくてボクは大好きだけど(全曲オープンテープに録音してある)、あまり演奏されることがないのは残念だ。評価の高いバルトークより好きなのは、ボクがシロウトである証拠なのかもしれないけどネ。