【状況への失言】中村文則の大江健三郎論  高橋純子の高市早苗批判  「捏造」発言は安倍晋三のマネ

 朝日新聞が数回連載した「大江健三郎 ことばが照らす先」で、作家の中村文則が「万延元年のフットボール」の言葉を取り上げている(4月2日)。物語の終盤に注目して、《この小説には恥という概念が通底していて》と記してから続けている。

 《恥は初期の大江文学に顕著なテーマですが、僕は日本から、どんどん恥をいう感覚が失われつつあると思ってます。政治家を見ても、恥の感覚が欠落してないとできないようなことをしている。恥は人間が暴走するときのブレーキとしてあったのですが、恥がなくなったとき、つまり大江さんが提示した恥という感覚が日本社会で失われていくとき、恐ろしいことが起こるのだろう(略)》

 大江文学を「恥」というワードで読んだことはないけれど、中村が指摘している現代の日本社会の「恥」部には説得力を感じる。特に政治屋たちの「恥」知らずにはずっと憤り続けているので、安倍晋三の破廉「恥」漢(はれんちかん)が祖父の岸信介以来の統一教会との癒着の延長上で、「恐ろしい」銃殺死事件でくたばったことが想起される。モリカケサクラクロカワイと連続した「恥」は思い出すだに反吐(へど)がでる。

 安倍晋三の破廉「恥」を受け継いだ高市早苗が、安倍を超えるような居直りぶりで世間をにぎわせているので先日ブログに取り上げたばかり。朝日新聞の記者が連載している「多事奏論」(4月5日)に、高橋純子さんが高市の「捏造(ねつぞう)」否定発言に対する怒りを発している。

 《猛々(たけだけ)しくて太々(ふてぶて)しくて。キングオブ猛々太々たる麻生太郎自民党副総裁の背中はもうすぐそこだ。》

 麻生太郎ほど低能ではないながらも、オンナを忘れた男性自民党員同然の政治屋ぶり(その典型が麻生太郎)もブログに記したとおりなので、高橋さんに憤激ぶりがストレートに伝わってくるネ。高橋さんの怒りは止まない。

 《(高市が)元部下の仕事を捏造呼ばわりするようになるまでの長い道のりを思う。安倍晋三元首相という強力な後ろ盾を得たことがやはり何より大きいのだろう。ファン層もかぶるから、みるみるずるずる安倍氏に振る舞いが似ていく。》

 まるでイチロー並みの口の悪さは賞賛に値するけど、高市が安倍をいかにマネしたのかを振り返っている。世間が忘れ去った事実を想起させる、高橋さんの証言は貴重だ。

 《2014年10月、安倍首相(当時)の国会答弁は、今思い出しても怒りに震える。(略)政治資金問題での野党の追及をめぐり、(略)

 「きょうの朝日新聞ですかね。これは捏造です」

 (略)破廉恥なメディア攻撃。なのに他媒体がおおむね「静観」を決め込んだことにも驚き、絶望の感を深めた。》

 読売や産経が安倍追及の手をゆるめたのは分かりやすいものの、毎日新聞までが「静観」したというのは解せない。首相在職中に読売新聞だけに私見憲法についてだったか)を載せておきながら、国民に向かって「読んでくれ」とほざいたのは読売と安倍晋三との「癒着」ぶりと共に忘れることはできない。日本の政治が腐りきった時代を作った張本人の安倍晋三が、「天罰」のように殺されたのだと受け止める人がいても当然だろね。

 「信用できないならもう質問しないで」と居直る高市に対して、自民党の末松信介・参院予算委員長が「質問する権利を揶揄(やゆ)したり否定したりするのは、本当に大きな間違いだ」と諭(さと)したというのは期待できるかもね。自民党高市のように腐りきったクソ野郎ばかりではない、ということだからね。

 高橋さんの記事、一読をおススメだネ。