石井正己出演のテレビ番組  よく分かる「遠野物語」  伊集院光はただのデブじゃない

ゼミのメーリスに情報を流したのは覚えているけれど、ブログに記すのを忘れていた、ゴメン!
NHK教育テレビで「100分で名著」という見る甲斐のある番組が続いているので、以前からよく見ている(25分に編集したものを4回続ける)。
講師に当り外れがあるのは仕方ないのでツマラナイこともあったけれど(漱石や賢治などの例)、今度は世界の柳田國男研究を先導するベンゾーさん(石井正己・学大教授)が担当するので大いに期待していた。
ベンゾーさんの著書は多くの「遠野物語」関係の本以外も欠かさず頂戴しているけれど(あまりに数も種類も多いので、自分で書いたのは何冊あるのだ? といつもからかっている)、読むのではなく話を聴くのは別の楽しみなので既読の人にも勧めたい。
啓蒙的なレベルではあるものの、時おり洩らすベンゾーさんの言葉が文学的に、或いは世界観として深いので感心する。
さすがはイチローが高く評価する研究者だ、と思って安心する。
例えば「遠野物語」における《語り》の構造についての言及など、ゼミの学生諸君には聴き落とさないようにしてもらいたいものだ。
今回に限らず、伊集院光のツッコミが冴えているのだけれど、「神隠し」経験者だけあって「遠野物語」への関心の強さが切れ味のイイ質問を講師に投げかけるので、ベンゾーさんの専門的な解説を導き出して面白い。
伊集院は小中学生用の図鑑を暗記してクイズ番組で正解を誇っているようだけれど、お笑い芸人が知識の量を自慢したら自己否定につながるのでアホらしい。
例えば京都大学卒業を売りにして知識量でクイズ番組で目立っても、決して褒められることではない、ということが分からないならフツーの芸人以上のバカである。
芸人は芸で勝負するのがプロの道なのだから、知識の量など全く関係ない。
知識で人を感心させるのではなく、芸で人を楽しませなくては芸人ではない。
(最近は最悪で最低のルー大柴のみならず、有吉や小木(おぎやはぎ)等のように芸も愛嬌も無いゲイニンが露出し過ぎて不愉快だが、逸れるので止める。)
伊集院はバカでもただのデブでもないのは、ツボを得た質問ができるところだ。
例えばデンデラ野(姨捨地)とダンノハラ(死の世界)が里を挟んだ両側にあるのは何故だ、とタイムリーなツッコミをして「3つの世界が近代の世界観のように直線的に繋がるのではなく、近代以前の世界観として循環しているのだ」というベンゾーさんの理解を導き出していた。
伊集院の前には別のMCだったように記憶しているが、伊集院になってから代わらないのも当然だと分かる頭の良さだ(知識の「量」と頭の「質」は全く別で、ここでもイチローの言う「量より質」なのだ)。
取っ付きにくいMCではなく、見た目からして微笑ましい存在の伊集院が、何やら難しそうな番組に視聴者を引き寄せているとすれば、落語家志望だったという伊集院の芸として評価してもイイと考えている。
番組の詳しい情報を記すのを忘れそうだ。
       毎週水曜午後11時〜11時25分
(再放送)翌週水曜午前5時30分〜5時55分
        午後12時25分〜12時50分
テキストは安価、524円+消費税でどこの書店でも売っています。

@ 石井正己センセイをベンゾーさんと呼ぶのは、彼が学大に赴任した頃は髪の毛が立っていて、「キテレツ大百科」とかいう漫画のキャラを思わせたので献上した愛称だからです。
当時は担任していたクラスの学生(付属大泉小の表賢司クンもその一人)も「ベンゾー先生」と呼んでいました。
現在のベンゾーさんの髪の毛の状態はテレビでご確認下さい(後頭部は見えないけど)。