中野信子

この欄に記し止めたい言葉は次々と見つかるのだが、なかなか書き止めて紹介するヒマが追い付かない。
中野信子と記すと欄が違うと思われるかもしれないが、朝日の日曜日に掲載される「朝日求人」の「仕事力」という連載エッセイ(各人4回)でとってもイイことを語っているので是非。
《機械ができることでは競わずに、人間の暮らしや歴史の中に引き継がれてきたものをうまく使いこなす、そういう知恵を磨く以外にない》
合理性・効率性では機械やコンピューターにかなわないので、機械と競っても無駄だから機械にできないことに励むべきだ、という内容自体は目新しくないけれど、脳科学者らしく人間の脳が合理的に行動することを抑制してきたのだ、と説明されると説得力がある。
江戸時代の加賀藩のように、徳川に次ぐナンバー・ツーとして警戒されないために工芸・陶芸・菓子等々の《美》・《文化》の世界に財力を注いだ知恵に学ぶべきだ、というのは「英雄たちの選択」に出演してきた知識の蓄積が現れたものだろう。
ノブコ・ファンとして買いかぶり過ぎと思われるかもしれないけれど、傾聴すべきだと思うヨ。