『近代日本とフランス象徴主義』  森本敦生  小林秀雄論

充実した比較文学研究書が現れたのでおススメしたい。
水声社から出版されたもので、12人の専門家がバラエティに富み、かつ内実のある研究成果を活字化している。
個人的には森本敦生氏の「小林秀雄における象徴主義の超克」という副題が付いた論から多くのことを教えられた。
氏はフランス文学研究を専門としながらも、日本文学研究者以上に厳格な手法と論理で論じた『小林秀雄の論理 美と戦争』(人文書院)で日本近代文学研究者に衝撃を与えたものだが(知らないという人は今からでも遅くない)、今度の論でも先行研究には無い指摘を積み重ねて貴重な必読文献となっている。
その他の日本文学者では中原中也萩原朔太郎梶井基次郎寺山修司加藤周一福永武彦などなどが計12人が取り上げられている。
少なくとも勤務校の研究室や図書館に備えなければならない本であるに違いない。
買うべし! 読むべし!