『日本近代文学』第94集

一番ハードルが高いと言われる学会誌の最新号が届いた。
研究者の世代交代も進み、知らない名前が並ぶ中に田中励儀さんや宮内淳子さんの名を見つけるとホッとする。
とはいえお2人とも自分よりは年下だと思うので、「現役」なのは当然だったかな。
若手の名前が並ぶ中にも安吾研究を牽引する山根龍一氏や、下岡友加氏の名を見出すと親しみが湧いてくる。
山根氏の論に対する感想は読後に記すものとして、下岡氏がこの学会誌に載るほどに成長したのかという感慨も湧くが、掲載されたのは専門の志賀直哉研究ではなく台湾ものだったので、今度は志賀で期待したい。
これも若手に入る嶋田直哉氏が、得意の演劇(井上ひさし)を論じているので楽しみ。
「展望」欄には同世代の千葉俊二が「相似・アナロジーフラクタル」という表題で書いているのも嬉しいが、最近流行なのかフラクタルという言葉まで使っているのでチョッと驚き。
ずいぶん昔のことだが、島の形を例にして「縮小されつつ同形をなぞる」というフラクタル理論を知ってビックラこいたことがあるけれど、今や流行語にまでなっているのかな?
とにかく読んでみよう。