2番じゃいけないンですか?!

また鷲田清一さんの「折々のことば」なんだけど、嬉しいことに以前強調した発想の切り替えを促す言葉が上げられていた(朝日新聞6月1日)。
 《日本は一位とか二位とかを争う野暮な国じゃなくていい。「別品」の国でありたいと思うのです。》(天野祐吉「成長から成熟へ」より)
先般亡くなった天野さんは「広告批評」を主宰していたコラムニストだけれど、学大でプロジェクト学習の授業で「コマーシャル」というテーマの講義をやるために、天野さんの本を少なからず集めて読んだことがある。
共感できるたくさんの名言があったように思うけど、この本もこの言葉も初耳だったので有り難い。
蓮舫という民進党の議員がいて、予算削減の際に「一番じゃなければいけないンですか? 二番じゃいけないンですか!」と突っ込んだ発言が有名になった。
個人的にはすぐに賛同したのだけれど、大バッシングも受けたらしいのは残念だった。
それとは直接の関係は無かったけれど、数学者の故・森毅さん(浅田彰の専門外の先生)の名著「二番が一番」(小学館文庫)が想起されたりして、ひたすら前のめりになってトップを目差す発想から脱け出せない日本人の「心の貧しさ」は、いつまで経っても不幸な意識から救われることはあるまい。