山田夏樹『石ノ森章太郎論』  宇野常寛

テレビ番組のお蔭で山田夏樹『石ノ森章太郎論』が読める条件が整った(安易すぎるけど)ということは記した記憶がある。
その後、本書を読み始めたことは書いたかな?(記憶がボンヤリしてる)
番組を見ていて一番興味を覚えた第3章「サイボーグ009」論から読み始めたところ(2週間くらい前かな)。
山田氏の例によって広い視野からの論究、別言すれば多岐にわたる論点が続いて飽きさせない、番組よりさらに広がる見地による展開だけど分かりやすいので読める。
終りに近い箇所に宇野常寛の論が引用してあったけど、彼は番組では大活躍していた印象だった。
それ以上にひと頃は「一世を風靡(ふうび)して」いた感じだったのに、すぐに消えてしまったのでどうしたのかと思っていたので懐かしい感じ。
千田研究室の出身者たちから「あまり大したモンじゃない」という評価を聞いてそんなモンかと思っていたのに、番組では宇野が議論をリードするほどだったので、よほど石ノ森を読み込んでいるものと感心してしまった。
ボクが無知だからそう感じてしまったのかもしれないけど、ナッキー君(山田夏樹)のお師匠さんに当たる千田洋幸氏の「ゼロ年代批評とはなんだったのか」という論文(山田夏樹・柳瀬善治両氏から贈られた西田谷洋編著『文学研究から現代日本の批評を考える』ひつじ書房に収録)を読んでいたら、確かに一過性の評論家だということがよく理解できた気がした。
続けてこの千田論文を推奨しようとしたけど、また長くなりそうなので別に記すことにしよう。