【状況への失言】ウクライナ・バレエ団の日本全国公演  ロシア音楽拒否はマチガイ  サイード等の努力を参考に!

 昨日(16日)夜Eテレで、ロシアの侵略後のウクライナ・バレエ団の活動を特集していた。侵略以前のずいぶん前から、ウクライナ・バレエ団と交流していた日本人がいたのは驚いたネ。さらにはバレエ団が日本で拠点としたのが群馬県前橋だというのだから、生まれも育ちも前橋というボクはビックリ仰天だったヨ。萩原朔太郎の「郷土望景詩」に収録されている「広瀬川」が懐かしく放映されていたけど、同時に映されたウクライナの情景に似ているようでもあったネ。広瀬川が街中でも急流なのはその後の人生で日本では見ない速さで、近所の踏切番の女児が溺死したという記憶は未だに薄れないネ。

 バレエ団員の中には、国民がロシアの侵略に対して闘っている最中にバレエなどやっていていいのか? という疑問を抱く人たちがいるのも当然である一方で、バレリーナは踊ることでしか戦えないという考え方もあるのも当然だネ。どちらかが正しいと決め付けるのはいけないネ。ともあれ侵略以前からの日本との交流があったからこそ、ウクライナ・バレエ団の日本全国公演が実現したのだろうネ。

 

 しかし公演直前になって「白鳥の湖」を演目から外す決定をしたので、踊ることになっていたダンサーが大変な目に遭っている様子も報道されていた。ボクに言わせればトンデモナイ心得違いだネ。一生ロシア音楽は踊れないとまで言っていたダンサーもいたけど、気持は分からないわけではないけど心が狭すぎるネ。チャイコフスキーが生前ウクライナの存在を否定するような言動をしていたのならまだしも、「白鳥の湖」には政治的な意味合いはまったくないのだから踊れないというのはオカシイよ。ロシア人が作曲したからというだけで拒否するのはマチガイと言うしかないネ。

 以前1度ならず書いたと思うけど、パレスチナ出身の思想家・サイードはピアニストで指揮者でもあるユダヤ人・バレンボイムと協力し、パレスチナイスラエルの若い演奏家を集めてオーケストラを組織した。そしてワーグナーの演奏が禁止されているイスラエルワーグナーを演目の1つに選び、聴きたくない人は会場から出るように訴えてから演奏したという。

 ワーグナーはナチが政治的な利用をしたというだけでなく、ワーグナー自身がユダヤ人差別を発言していたのでイスラエルの人々が拒絶する気持は理解できる。しかし芸術の評価は政治とは分けねばならない、というのが成熟した考え方だヨ。日本でも昭和初期のプロレタリア文学運動では、政治的な価値が無いという理由で芸術的な作品を否定したという誤りがまかり通っていたことを想起するとイイだろネ。芸術と政治というまったく異質なものの評価を連動させるというマチガイから、早く解放されて欲しいものだネ。