【聴く】バッハ「ゴルドベルク変奏曲」  グールド  ニコライエワ  弦楽三重奏版もエグイ

先日の朝日新聞に偶然「ゴルドベルク変奏曲」を録音したばかりのファジル・サイが取り上げられていた。写真でも伝わるようにとてもピアニストとは思えない感じのマッチョな男で、個人的にはストラビンスキー「春の祭典」のエネルギッシュな演奏に圧倒された録画してあるけど(ビデオなので今は聴けない)、一般にはモーツァルトの「トルコ行進曲」をアレンジした演奏で知られているとのこと(トルコ人だけど)。20世紀も終わる頃からバッハの録音に取り組んでいたそうだけど、ジャズ演奏も得意なピアニストにありがちなとおりでバッハに強い関心を持ち続けていたらしい(グルダも両方で有名なピアニストだけどバッハへの関心は聞かないナ)。

 コロナ禍の間もバッハ研究に打ち込んだ成果としてこの大曲に挑んで注目を浴びている模様。「ゴルドベルク変奏曲」といえばグレン・グールドが代名詞のように有名だけど、昔はロシアの婆ちゃんニコライエワの録音も高く評価されていて、ボクは彼女の演奏を聴きに行ったヨ。長い曲だから途中でいったん弾くのを止めて休憩に入った時はビックリしたヨ、事故で弾けなくなったのかと思ってネ。グールドは一方でモーツァルトピアノソナタ全集(持ってるゼ)も完全に独自な演奏でも高く評価されているネ、早死にしてしまったけど。

 

 ニコライエワが正当的な演奏だとすれば、グールドのは原曲に近いハープシコードの音に寄せつつもグールドらしいチャーミングな演奏で有名になったのだネ。ボクも最初に聴いただけでとりこになってしまい、オープンテープに一部録音してあるものの全曲の録音が欲しいと思い続けていたのだネ。その思いが先日実現したばかりなのだけど、その時一緒に七七舎でゲットしたのが皆川達夫『バロック名曲名盤100』で、古い本だから解説にはハープシコードのことしか書かれてないヨ。そんな本をゲットしたのは、学生時代に毎朝バロック音楽のラジオ番組で皆川先生の解説を聞いていた上に、非常勤講師としてボクの大学に来てくれて試験でボクには珍しい「優」をくれたのだネ。皆川先生の本務校は立教大学で、学園闘争のさなかには留守の間に研究室のドアに「妾宅にいます」とか落書きされたとか、・・・余計な逸話だったかな。 

 ずいぶん前に弦楽三重奏版でマイスキーがチェロを担当している演奏がまたメチャクチャ素晴らしい! と推薦したこともある曲だヨ。あの時はタミルさんが別の演奏のCDをゲットしたけど、あまり感動できなかったようなことを言ってたな。

 最後に一言、ファジル・サイは熱心なエコロジストだそうだヨ、あの顔で。エライ!

 

@ 書きながら清塚信也の「クラシックTV」を見ていたら、緑黄色社会という名前だけ聞いた覚えのあるグループが出演してたヨ。歌は全然興味を惹かれないけど、メンバー4人とも皆音楽家なンだネ。男子の1人が好きな曲として上げたのが、サイが精力的な演奏を残している「春の祭典」だったのは驚きだった、清塚もおどろいていたヨ。