【読む】『岡山エンタメ文学』(綾目広治)

 紹介が遅くなってしまったけど、信頼する綾目さんが啓蒙的な文庫を出した(岡山文庫329、900円+税)。奇妙な表題の本だけど、意味するところはそのままで岡谷に関係する文学を全て綾目さん自身が解説している独自の文庫だ。綾目さんらしく竹久夢二重松清石川達三柴田錬三郎吉行淳之介横溝正史等々と親しみやすい文学者の名前が並べられて解説されている。空間的には岡山に限りながらも叙述は日本全土に関わる文学史の流れがたどられている。だから個人的には江見水位蔭や森田思軒などという名前しか知らないような文学者について、綾目さんからご講義を受けた感じで賢くなった気もするヨ。

 岡山といえば岩井志麻子を想起する人もいるかと思うけど、ゴジム(「5時に夢中」のレギュラー)で売り出したシマコながら(ボクもメイさんに教えられてゴジムとシマコのエロ話を知った)中学生のエロ話のレベルに止まったままのワンパターンですぐに飽きてしまうのでもう番組を降りた方がイイ。でもこんなクソ女にも付き合いのイイ綾目さんは3ページを費やして解説しているので、根っからイイ人なんだと思う。お堅いマルクス主義理論からシバレン(柴田錬三郎)まで何でも読みこなして論文・解説を引き受けて消化してしまう綾目さんの貪欲な胃袋と、それを他者に解説できてしまう口説の力は綾目さんに及ぶ人はいないかもネ。

 岡山というと吾がナオさんの出身地だから、ナオさんに「岡山文学」の話を聞いて興味が湧いたら本書まで手を伸ばすとイイよ。