【見る】石川数正  「英雄たちの選択」  藤田嗣治「アッツ島玉砕」

 今夜は放映していた広島⇔巨人戦と日ハム⇔ロッテ戦を見ていたのだけれど(川本三郎林芙美子の昭和』を読みながら)、途中から本が読めないのを承知の上で「英雄たちの選択」を見たヨ。ふだんなら再放送まで待つのだけれど、テーマが石川数正だったのでガマンできなかったのだネ。大河でも関心を集めているようだけど、ボクはむかし司馬遼太郎(たぶん「関ケ原」)を読んで以来ずっとこの人物に興味を惹かれているのだネ。家康の幼児から側で仕え続けたけれど、秀吉に見込まれて家康を「裏切って」大名に取り立てられて松本城の主になった人物だ。

 歴史上ずっと「裏切者」として見られていたようだけど、最近では徳川を守るために秀吉に付いたという理解が一般的になったらしい。番組でも歴史家の平山優さんや千田嘉博さん(腹が出てペンギンみたいな歩き方をするので学生時代からの友人マー君を彷彿させる城郭研究者)と国際交渉家の島田久仁彦(という怪しげな人)とMCの磯田さんの4人がそろって「裏切り」説を否定していたのでホッとしたネ。家康の臣下のほぼ全員が秀吉と闘うことを主張したのに対し、数正独りが秀吉への臣従を唱えたその英知にボクも共感を覚えていたからネ。

 信長没後に四国を平定し・越後の上杉も臣従させて圧倒的な兵力を具えた秀吉は、北関東の真田家を家康から離反させて三河駿河に対する脅威を与えていた。北条や伊達も残っていたものの、同盟して秀吉に対抗するはほどの結束まではできなかったのだろネ。東の北条側以外の三方を秀吉の勢力に取り囲まれた家康に勝ち目は無かったのに、数正以外の家来(おそらく家康本人も)は秀吉との決戦に挑もうとしていたのだから、先が見えていた数正は闘いの道を回避したのだろネ。

 幸い小牧長久手の闘いでは大軍で臨んだにもかかわらず家康に配下の軍を撃破され、家康の手強さが身に沁みていた秀吉のホンネは決戦を避けたかったに違いない。だからこそ数正を抱き込んで決戦を避けたということなのだろう。決戦を回避するという方針では、秀吉と数正は一致していたというわけだ。この数正の英知が尊重されていれば、太平洋戦争中でも多数の玉砕という悲劇が避けられたはずだろう。玉砕とか花と散るとかは日本人の美意識なのかもしれないものの、それが悲劇を生むことになるのだから単純に肯定できないネ。

 

 革命運動においても救済すべき大衆の存在を忘れさり、獄中で己の革命思想に殉じてしまった革命家が尊重される傾向も、妥協を許さず決戦にこだわる点では秀吉と闘おうとした家康の家臣と同断だろう。話が飛んだ印象を持たれるかもしれないけれど、獄中非転向派を批判し続けた吉本隆明の「転向論」がボクの思考の基本軸となっているからだ。

 

@ まだ終わりそうもないので、いったん切って続きは機会を改めてネ。