【状況への失言】小松原織香『当事者は嘘をつく』  性被害者からの発信

 連休だからブログも休みというわけじゃなくて、小池百合子乙武洋匡の選挙戦敗北で独り祝杯をあげたり・大食いの番組の再流行がらみでギャル曽根をブチ殺し(ブス殺し)たくなるなど、書きたいことはたくさん溜まっているけど記している余裕がないのだネ。このところジャミラがらみで長めのメールのやり取りで慰められたり、三好師の墓参がらみで長い手紙を書いたりとか、けっこう忙しい。連休は4月中旬に早めて釣り部を楽しんだので、今さら旅行などで混雑した所に行く人々を哀れむばかりだネ。

 

 一番記しておきたいのは女性の性被害者が発信していたEテレの番組「こころの時代」で、1ケ月ほど前に見て書こうと思いながらもその間もないまま、幸い数日前に再放送があったので書けることとなった。小笠原織香という人の肩書は「哲学研究者」というヘンなものだったけど、番組を見ていたら分かった気がしたネ。哲学者とは自他共に言えないものの、物事を突き詰めて考え抜くという意味で「哲学研究者」を名のっているようだ。

 詳細は語られないものの、以前知人の男から「暴力」による性被害を受けた苦悩し続けた結果、相手を許すことにしてその後の人生を生きることにしたのだという。苦悩は当然解消できぬまま引きずり続けることになる過程で、デリダ『言葉にのって』(ちくま学芸文庫)やジュディス・ノーマン『トラウマと自己回復』などに出会いつつ、被害者と加害者との「対話」を重視する発想を獲得して『当事者は嘘をつく』や『性暴力と修復的司法』という著書にまとめたとのこと。

 『当事者は嘘をつく』の末尾が紹介されたけれど、キレイにまとめた形になっているものの性被害の記憶は消えぬまま葛藤する姿が痛いほど伝わってくるところが本書の、ついては小松原氏の核になっている突き詰めて考え抜く姿勢なんだと思う。今は国際的な活躍している様子が映されていたけれど、この人の苦悩は果てしないもので番組を見返すことによってしか伝わらないのだと思ったネ。