【状況への失言】ハマスだけを責めても解決にならない  イスラエルのテロ事件

 アルメニアアゼルバイジャンの紛争では、係争地ナゴルノ・カラバフからウクライナ侵略のためにプーチンがロシア軍を割いて兵力を薄くしたため、圧倒的な軍事力を持つアゼルバイジャンが「民族浄化」のために係争地からアルメニア人を武力で追い出したので心を傷めていたところに、今度はイスラエルの紛争問題が起こって気持が休まるヒマがないヨ。それまではアゼルバイジャンから守ってくれたロシアに裏切られた形となったアルメニアが、いきなりアメリカに近づいたというニュースも気持悪いかぎりだけど、自分を守るためと言われれば仕方ないのかな。

 ロシアがウクライナに従軍させている兵力をナゴルノ・カラバフへ移動させ、旧ソ連の両国の平和を保障する余裕があればアルメニアを自陣に引き留めることはできるだろうけど、(アセルバイジャンとイスラム教でつながるトルコ軍を恐れてか)この紛争に手を出せずにアルバニアがロシア離れするのをみすみす見ているしかないのは、北欧諸国が中立を破ってEUに加盟してしまったのに続くプーチンオウンゴールで笑えるネ。ウクライナアルメニアの国民を思えば笑っていられないのはもちろんだけどサ。それにしてもこれ等のプーチンの大失政にもかかわらず権力の座から追われないのは、プリゴジンの暗殺はじめ政敵を次々と消しているためなのかな。

(個人的なことを付しておけば、アルメニアは「ガイーヌ」の作曲家ハチャトリアンと大好きな画家ジャンセンの故国なのだナ。)

 

 イスラエル問題に戻るけど、ハマスが突然大規模なテロに奔ったのは外側から見ると不可解ながらも、それだけパレスチナ人とハマスにストレスが溜まったせいなンだろうネ。近いところでさかのぼっただけでも、無知無能なトランプがイスラエルの首都を無理やりエルサレムに移させてアメリカ育ち(で現地については無知)のネタニヤフを強力に支えたことが、今まで以上にパレスチナ人を刺激したことは想像にかたくない。周知のようにイスラエルは条約(オスロ合意)を破りながら武力によって占領地のパレスチナ人の家と土地を奪って入植し続け、国連からの批判を無視しつつエルサレムではパレスチナ人が身分証明書を持たずには買い物にも行けないような状態を強いてきた。

 大日本帝国満州で犯したことをなぞるような(という自省的な視点は大事)イスラエルの蛮行は許されるはずもないことながら、アメリカはじめ国際社会はイスラエルのやりたい放題を見逃してきたのだから、見捨てられたと思ったパレスチナハマスの反撃が起こるのは時間の問題だったのだろう。それにしても音楽祭で集まった人々を攻撃するとは、ハマスハマスで国際輿論の批判の的になるのは必然でオウンゴールと言うしかない。バイデンがメキシコとの国境に壁を築いたトランプの方針を受け継いでトランプにも揶揄われたのに続き、ハマスを批判しつつイスラエル支持を表明したのもトランプにバカにされるだけだネ。

 バイデンに続きすぐにオーストラリアの軍人がイスラエル支持を表明したと思ったら、先ほどのニュースではEUのフランス・ドイツの両大統領もイスラエル支持を断言していたのでガッカリしたネ。9・11の時は低能ブッシュ(子)が即座に「戦争だ!」と騒ぎたてて、いきなり低迷していた支持率を90%以上にしたのは記憶に新しいだろう。今回もネタニヤフが「戦争だ!」とブチ上げていたのに乗った形となっているのは恥ずかしいのみならず、危険きわまるので落ち着かない。中国を訪問中のアメリカ議員団が習近平イスラエル支持を訴えたものの、習が同調せずに中立を主張したのは習にしてはリッパなものの、習が国内でウイグル人を「民族浄化」のように抑圧していることを想起すれば褒められたものではないのだけれどネ。

 

 9・11ではすぐにアメリカと歩調を合わせてイラク攻撃をやったイギリスが、今回の「戦争」にどう処するのかという情報はまだ入ってないけど、イラク攻撃の二の舞いは避けて欲しいものだネ。誰も言わないけどボクに言わせれば、9・11はそもそも他国を空から地上から攻撃し続けた黒歴史を持つアメリカに対し、結果的には「天罰」が降ったのだという面を忘れるべきではない。例えばベトナムで空からナパーム弾(焼夷弾)はじめ厖大な量の爆弾を落とし続けて国土を荒廃させたアメリカが、初めて自らが空から攻撃されたことは自省のためには貴重な体験だったのだ。それを被害者意識一色でブッシュのバカに乗せられてしまったところに、アメリカ人のレベルの低さが瞭然としている。

 トランプのようなブッシュの上を行く大バカ者が広く支持される土壌がアメリカにあるので子供の頃から不信感を抱き続けてきたけれど(その最たるものが原爆投下!)、最近9・11当時ブッシュに乗せられることなく議会で唯一イラク攻撃に反対した人の名前が判った。バーバラ・リーという黒人女性なのだけれど、黒人であり女性であるという点がミソかもネ。トランプ支持者の多くが白人男性だという事実を裏返した形になっているからネ。バーバラはその後、殺人予告はじめさまざまな嫌がらせを受けたもののまだ生存していると知って喜んでいる。

 

 つい長くなってしまったけれど、イスラエルでは大規模なテロを防げなかったという理由でネタニヤフを批判する声が続いているとのことだけど、本末転倒だ! ネタニヤフはじめ彼が率いる強硬派リクード(党)が過剰にパレスチナ人を抑圧した結果なのだ、ということをイスラエル人が認めない限り「戦争」はエスカレートするばかりで終りは見えないだろう。グテーレス国連代表も言うように、ハマスばかりを批判しても解決は見えない。イスラエルには《被害者意識》ではなく《加害者意識》を抱いてパレスチナ問題を解決しようという良識ある人も少なくない、ということは放送大学高橋和夫さんの講義でそういう人へのインタビューで知った。アメリカ(人)ほど単純ではないというところに期待したいネ。