【見る】「笑わない数学」パンサー尾形  「はじめての美術館」片桐仁  鈴木貞美

 数え切れない評論集と映画化もされた小説作品も刊行している鈴木貞美さんは、大学の先輩(国文科のボクとは違って仏文科だけど)で昔から新著を贈っていただいてきたけれど、関心の対象が広いこともあって頂戴した本をボクが読む進度が追いつかないままできている。先日本棚を整理していたら昔の著書『人間の零度、もしくは表現の脱近代』(河出書房、1987年)が目に付いたので目次を見たら、唯一読んである巻頭論文に続いて牧野信一論が続いていた。何でも論じてしまう器用さのある人だけど、牧野まで論じているとは知らんかったヨ。本の6本の論文中で作家の名が付いているのはこれだけで、基本はオリジナルな切り口を模索する理論的な趣きのある論だからネ。

 ともあれ急ぎ牧野信一研究を持続しているエトワル君にコピーして送ったヨ。これが刺激となってヒグラシで発表してくれるとイイね。それに合わせるわけではないけれど、ボクも牧野論はじめ未読の論文を読んでみるつもり。本の腰巻には《戦後的理念・天皇制は現代の表現に何をもたらしたか》とあるのでソソラレる。鈴木さんに限らず、いただいた本で面白そうなものは遅ればせながらも読む所存。いつかも頂戴してから10年以上経ってから関礼子さんの著書を読んで、感想を送ったことがあるヨ。

 オモシロいことに鈴木さんが高校生だった時に、山田有策先生の授業を受けたと聞いたヨ。ご両人とも思い出したくない様子だったけど(笑)。

 

 前振りが長くなってしまったけど、牧野論のコピーを送ったエトワル君からテレビ番組「笑わない数学」(NHK水曜午前と午後など)を勧められた。実は番組が始まった当初から注目している番組で、楽しみにしている。ただでさえ近づきがたい数学の、歴史上も難しい問題を取り上げてパンサーの尾形が説明しているのでダイジョブかな? と不安になる人も多いだろうけど、そこが番組のミソで尾形が精いっぱい説明している。もちろん尾形は自信なさそうな表情で冷や汗(?)をかきながら暗記していることを(カンペを見ていることがバレないように?)ひたすらしゃべっている。番組が終わった瞬間、尾形が毎回大声で「お疲れ!」と叫ぶのもオモシロい、何よりも自分自身に向けて言ってるのだろネ。ちなみに釣り部の準レギュラーのパンサーは、顔が尾形に似ているからだヨ。

 ついでながら新番組では「はじめての美術館」(東京MX、第2・4日曜の昼時)がおススメだ。「ぶらぶら美術館」をブチ壊していた無知・低能な小木博明とは正反対で多摩美大学出の片桐仁がMCなので安心だ。顔はチョッとグロテスクに感じる人もいるかもしれないけど、さすがに芸術鑑賞力はピカ一だヨ。以前MCをやっていた「わたしの芸術劇場」でも信頼できる知識と鑑賞の冴えを示していたネ。

 ちなみに片桐仁小林賢太郎と組んでラーメンズというお笑いコンビで斬新なコントをやっていたので、知ってる人もいるかもね。